社長のための「コラム&NEWS」
あなたの会社と資産を守る一手
第2話 債権者のルール
「債務者のルール」といっても、債務者はそのルールを知っているわけではない。それでも、「Moscow Rules 」というDaniel Silvaの海外ベストセラー小説のタイトルから拝借して名づけたとような 「債務者のルール」というものが歴然と存在する。
そして、悪いことに、それを債務者が知るときはほとんどのケースで危機に陥ったときでしかない。
たとえば、 事業が破たんして担保がついている不動産を売ろうと決めて、買い手をみつけてきても担保をつけている根抵当権者・銀行がオーケーしてくれないということがある。
その不動産の所有権が自分にあるにもかかわらず、自分では売るということを決められないのだ。
たとえば設備投資をするため信用保証協会付の融資を受けて、その翌年の決算書に「減価償却」がなければ、債務者が資金使途を勝手に変えたからという理由で、その後信用保証協会付の融資はおろか、プロパーの融資でさえ事実上新規融資をしてもらえなくなる。
たとえば、事業承継のため会社の代表取締役を息子にし、新社長とともに銀行に行ったとする。
「あー、もう会社の経営から離れられる」と思っていても、銀行の融資担当者が出してきた書類は、代表者の変更届だけでなく、重畳的債務引き受け契約書。
高齢ゆえに社長をやめて長男に社長を譲ったにもかかわらず、やめた旧社長も会社の債務を引き受けなければ(連帯保証人になります)ならないのだ。
ここで、 「私は社長をやめたのだから保証をはずしてくれ」と言っても銀行は承諾してくれない。「規則ですから・・・」と言われるのがいいところ。
そんなルール、知るよしもない。それにも、かかわらず、債務者であれば、企業だけでなくどんな人にもこのルールが適用される。
つまり、「債務者は、債権者の勝手に決めたルールの中で生かされている」のです。債権者に歯向かっても何の得にもならない。債務者が債権者の意見をさえぎり、自分を主張してもプロフィットは生まれない。
むしろ、この「債務者のルール」を理解してしまえば、危機に直面しても債務者として生き残ることはできるのです。
そんな「債務者のルール」の最初に来るものがこの「債務者は、債権者の決めたルールの中で生かされている。」
「債務者のルール」を理解することでいったいどんな利益があるのか?きっとそう思うことでしょう?
でも、「敵を知り己れを知らば、百戦して危うからず 」という言葉があるようにそのルールさえ理解できれば、債務者としてどんな苦境に陥っても解決策をみいだせるもの。それこそが「債務者のルール」なのです。
そして、悪いことに、それを債務者が知るときはほとんどのケースで危機に陥ったときでしかない。
たとえば、 事業が破たんして担保がついている不動産を売ろうと決めて、買い手をみつけてきても担保をつけている根抵当権者・銀行がオーケーしてくれないということがある。
その不動産の所有権が自分にあるにもかかわらず、自分では売るということを決められないのだ。
たとえば設備投資をするため信用保証協会付の融資を受けて、その翌年の決算書に「減価償却」がなければ、債務者が資金使途を勝手に変えたからという理由で、その後信用保証協会付の融資はおろか、プロパーの融資でさえ事実上新規融資をしてもらえなくなる。
たとえば、事業承継のため会社の代表取締役を息子にし、新社長とともに銀行に行ったとする。
「あー、もう会社の経営から離れられる」と思っていても、銀行の融資担当者が出してきた書類は、代表者の変更届だけでなく、重畳的債務引き受け契約書。
高齢ゆえに社長をやめて長男に社長を譲ったにもかかわらず、やめた旧社長も会社の債務を引き受けなければ(連帯保証人になります)ならないのだ。
ここで、 「私は社長をやめたのだから保証をはずしてくれ」と言っても銀行は承諾してくれない。「規則ですから・・・」と言われるのがいいところ。
そんなルール、知るよしもない。それにも、かかわらず、債務者であれば、企業だけでなくどんな人にもこのルールが適用される。
つまり、「債務者は、債権者の勝手に決めたルールの中で生かされている」のです。債権者に歯向かっても何の得にもならない。債務者が債権者の意見をさえぎり、自分を主張してもプロフィットは生まれない。
むしろ、この「債務者のルール」を理解してしまえば、危機に直面しても債務者として生き残ることはできるのです。
そんな「債務者のルール」の最初に来るものがこの「債務者は、債権者の決めたルールの中で生かされている。」
「債務者のルール」を理解することでいったいどんな利益があるのか?きっとそう思うことでしょう?
でも、「敵を知り己れを知らば、百戦して危うからず 」という言葉があるようにそのルールさえ理解できれば、債務者としてどんな苦境に陥っても解決策をみいだせるもの。それこそが「債務者のルール」なのです。
バックナンバー
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- 第52話 会社が倒産しても社長の個人信用情報に傷をつけたくないなら…
- 第51話 収益不動産購入の判断を数字だけで決めてはいけない
- 第50話 魅力的な不動産でも、銀行融資のハードルが高いものには手を出すな
- 第49話 保証協会団信制度
- 第48話 社長の連帯保証をはずせる会社、はずせない会社
- 第47話 融資が受けられなくなる「債務の状況」について
- 第46話 黒字だが借入金が多い会社のソフトランディングの方法
-
第45話 所有不動産に価値(余力)がないから差押えられる
危険性もないと考えることの間違い - 第44話 破たんして、破産や民事再生を自動的に選ぶべきではない
- 第43話 資産によってつぶされる会社とは?
- 第42話 会社破たん後に経営者はどうしたらいいのか?
- 第41話 仮差押・差押をあまくみてはいけない
- 第40話 他社よりも儲けるためのビジネスモデルとは?
- 第39話 新たな営業利益はどこから生まれるのか?
- 第38話 B/S(貸借対照表)のどこが変化すると、融資が返せなくなるか?
- 第37話 あきらめたら、そこで終わり
- 第36話 少しずつ厳しくなっている破綻後債務者への金融機関による債権回収
- 第35話 うまくいく会社、だめな会社
- 第34話 経営者にとっての「真摯さ」とは?
- 第33話 会社経営と、経営者の個人資産(不動産)
- 第32話 利益を増やすには「B/Sを意識したビジネスモデル」が必須
- 第31話 日本人社長の考え方、韓国人社長の考え方
- 第30話 先細りの事業を再構築するときに、必要なこと
- 第29話 商品譲渡担保の契約は、企業の生き死にを決める
- 第28話 「なぜ失敗しそうな事業から撤退できないか」を中小企業で考えると
- 第27話 フレキシビリティー(柔軟性)、経営のあらゆる場面で必要なもの
- 第26話 破たん後に会社の資産、会社の個人資産はどうなるか?
- 第25話 破たんしても再生できるポイントとは(2)
- 第24話 破たんしても再生できるポイントとは(1)
- 第23話 事業の建て直しには、結果としての計数が必要
- 第22話 返済が遅れると低金利の融資も高金利になる
- 第21話 債務過多の解決策は3つしかない
- 第20話 昔からある業種では、視点を変えなければ利益も増えない
- 第19話 債務過多でも中小と大企業では再建方法が異なる
- 第18話 大きな含み資産を持つ債務過多の黒字会社は難しい
- 第17話 利益はどこから来るか?経営計画を作るなら…。
- 第16話 バランスシートにのらない資産が利益を産む
- 第15話 管理することで生まれる利益もある
- 第14話 債務過大・延滞で競売の危機!誰かに投資してもらい事業を継続したいと思ったら
- 第13話 債務者になったら「もしも…」の時を考え、資産の持ち方を考えた方が良い
- 第12話 危機のときに生き残る会社のバランスシートとは?
- 第11話 失敗から学ぶことの重要性
- 第10話 会社の借り入れが過大になる理由
- 第9話 中小企業のバランスシート
- 第8話 推定デフォルト率と資産勘定
- 第7話 破たんの原因
- 第6話 債務者のルール
- 第5話 債務者のルール
- 第4話 債務者のルール
- 第3話 利益率を上げるビジネスモデル
- 第2話 債権者のルール
- 第1話 社長が知らねばならない資産防衛
筆者紹介
講師 坂田 薫 氏
企業再生コンサルタント
東京都中小企業振興公社の事業承継・再生支援事業登録専門家。専門は企業再生、ビジネスモデル、WEBマーケティング、SEO。ITと絡め、新しい成長戦略を立案、事業を軌道に乗せる実力コンサルタント。
金融機関にて20年に渡り、外為審査、ドル円中心のデイーリング、外為日銀担当等を経て、支店の融資担当次長を経験、数々の事業プロジェク トに財務と事業モデル開発の両面から支援。1000社以上の企業に携わる。
著書は「1年で黄金の会社を生み出すカラクリ」「決算書からお金持ち会社の作り方がわかる」、「社長さん!あなたの資産と会社を守る最後の一 手、教えます!」