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社長のための「コラム&NEWS」
今井繁之の 「上司のためのホウレンソウ」

第11話『監督責任を問われることを隠さない』

 部下から「とんでもないことをしてしまいました、これが世間に知られると大変なことになります」といったような報告があると、上司は自分が指示したわけではなくても、一応、監督責任が問われるということになるので、何とかなかったことにしようという誘惑にかられます。

 場合によってはオープンになることを阻止しようとして隠蔽工作を指示します。

 そのような行動は決して好ましいことではありませんが、我が身可愛さでついそのような不正な行動をしてしまうことがあります。

 隠蔽工作が効を奏して露見しなければよいのですが、悪いことはいつかはばれるものです。

 ばれてしまってきついお灸をすえられることを考えると、最初の段階で「申し訳ないことをしました。監督者として責任を感じております」と正直に報告して頭を下げておくべきです。

 重大な事故があったにも関わらず真実を隠して、何かでそれが明らかになり、『事故隠し』と批判を浴びるケースが後を断ちませんが、企業は社会の公器であり、自社にとって不都合な情報も時として公開しなければならないことがあります。

 それを隠そうとしても隠し通すことは難しく、恣意的に隠したことが明らかになると世間から厳しい指弾を浴びることになりかねません。

 大手コーヒーチェーンのSは、都内の店舗で消費期限切れのケーキを販売したことが判明した段階で、同社のホームページに商品回収の「お詫びとお願い」を掲載しました。

 売ったのはたったの2個。健康被害の訴えもないにもかかわらず同社は情報を公開しました。

 期限切れに気付いた購入者や正義感にかられた社員が、もしネットに情報を流したらどうなるかということを考えたからだということです。今や隠そうと思っても隠せない時代となっています。


 部下から好ましくないことが起きたという報告を受けた上位者は、起きてしまったことをいたずらに隠すのではなく、起きてしまったという事実を受け入れ、取引先やお客様への悪影響を最小にするにはどうしたらよいかということをより重視して、自分が知り得た情報はトップを含む幹部に正直に報告するべきです。

 そのような行為は時として周りから白い目で見られるかもしれませんが、自社の不祥事を内部から告発して結果的には企業を救うことになった会社の例もありますので、勇気を奮って直属上司を含む関係者に正直に報告しなければいけません。

 上司によっては社内外に知られないように隠蔽工作を指示する人がいるかもしれませんが、その時は「他社の事例でもそうですが、そんな姑息な工作をしてもいつかはばれてしまいます。社内には無数のオンブズマンがいると考えて、正直に行きましょう」と主張します。「君の不注意でこんな結果を招いたにもかかわらずその言い草は何だ!」とお怒りになる上司がいるかもしれませんが正道を歩むべきです。

 部下から「こんなまずいことをやってしまいました、どうしましょう?」という報告があった際、どのようにしたら上の人に知られないようにできるかを考えるのが普通です。なぜそう考えるかといえば、監督責任を問われて責任問題に発展することを恐れるからです。

 しかし、それらを隠すことによって、いつばれるかと不安な日々を過ごしたり、良心の呵責で悩むことを考えれば、一時的には失点になっても、こんなことで解雇されることはないだろうと腹をくくって上司に正直に申し出るべきです。

 その結果、きつい叱責を受け、始末書を書き、減給処分にはなったとしても、そんなことは長いサラリーマン生活の中で十分取り返すことはできます。

 よって部下から好ましくないことの発生の報告があっても握りつぶさないで、上司を含む関係者に正直に伝えて社会正義に適った善後策を講じるべきです。


 「天網恢恢(かいかい)疎(そ)にして漏らさず」という老子の教えがありますが、悪いことをするといつかは必ず報い、それも悪い報いがあるので、好ましくないことの発生は隠すべきではありません。

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筆者紹介

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講師 今井 繁之

シンキングマネジメント研究所代表

社内・お客様に「報告・連絡・相談」を徹底している会社は、この逆境にあっても、業績が長期安定することを長年の指導経験から実証。
リコー・ソニーに勤務時、論理的問題解決法であるKT法の社内指導を手懸ける。その後、1991年、シンキングマネジメント研究所を設立し独立。指導実績は、キーエンス・シャープ・コープこうべ・NTTデータ・リクルート・伊勢丹…等の企業で、年間1000人を超える社員・幹部に独自の問題解決法TM法を教える。 特にeメール時代の「報告・連絡・相談」の指導は大好評。著書「頭を使ったホウレンソウ」、DVD「営業マンの報告・連絡・相談」(弊会AV局刊)

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