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社長のための「コラム&NEWS」
今井繁之の 「上司のためのホウレンソウ」

第6話『事実なのか、意見なのかを見極める』

 部下の報告・相談内容の中には、事実報告と部下の意見・憶測が混在していることがよくあります。

 上司によっても異なりますが、一般的に部下から報告・相談があった際、事実情報と判断情報を厳密に分けないで一緒にして考える傾向があります。

 事実確認が不十分にもかかわらず、すぐどうしようかと対策を考えたり、また、意見・判断情報をあたかも事実のようにとらえてすぐどうしようかと考えがちです。

 例えば、部下から「A君がやる気を失っているので配転を考えたい」という相談があったとします。

 やる気を失っているということの根拠になる事実情報を十分確認しないまま、どこに配転するかという対策を検討するとおかしなことになってしまいます。

 「やる気を失っている」というのは人が下す判断であり、判断を下す前に「やる気を失っている」と判断した根拠を確認します。すると、最近、遅刻・早退および欠勤が多く、仕事上でもささいなミスが多発しているという事実があったとします。

 その事実からやる気を失っていると判断するのはひょっとしたら早計かもしれません。A君の家庭で上司やまわりの人に相談しづらい何かまずいことが発生してそれが気になって仕事が手につかないかもしれません。

 私達は表面に現れた事象からすぐ判断を下す傾向があるので、判断をする前にもう一度、その判断の根拠になった事実を確認してみることが必要です。

 何か厄介な問題が生じて、どうしたらよいかを検討する前に、「ちょっと待て、それは事実なのか、何を根拠にして、そのようなことを言っているのか?」という問いをしてみます。

 そのように情報が事実なのか、判断・意見なのかの見極めをきちんとして、意見・判断について誰が言っていることなのか、どこの部署からの情報なのか、その意見・判断の根拠となった事実は何かを確認した上で分析に入れば、後で余計なことをしてしまったと後悔したり、検討しなくてもよいことに貴重な時間を費やしてしまったと反省することは少なくなります。

 例えば、営業担当から「○○デパートの売上が落ちました。原因はライバル社がコミッションをアップしたためです」と報告があった場合、コミッションアップが事実かどうかを確認するのは当然ですが、売上が落ちた原因が本当にライバル社のコミッションアップのせいであるかを究明する必要があります。

 コミッションアップが真の原因かもしれないし、営業担当の判断・意見かもしれません。よって、「どうしてそのように判断したのか、その根拠は何か」と営業担当に根拠を確認します。

 「何となくそう思います」というようないい加減なものであったら、裏付けをとるように指示すると共に、「売上が落ちた原因として他には考えられないか?

 売り場に何か変わったことはなかったか、先方の対応にこれまでと微妙な違いはないか?」という具合に問いかけてみます。さらに「先方のことだけでなく、こちらの方にも何か思い当たることはないか」と問いかけてみます。

 その結果、こちらの訪問回数が以前に比べて減ったとか、約束したことを実行しなかったため、先方の不信を買ったという事実が明らかになるかもしれません。それが真の原因ということになるかもしれません。

 好ましくないことがあると、人は原因を他人の責任(他責)に帰したがる傾向があるので、自分の責任(自責)に帰することはないかと問うことも必要です。

 報告があった場合、報告者の性格、くせを勘案することも時には必要です。同じ事象を見ても、それを楽観的にとらえる人と悲観的にとらえる人がいるからです。

 一昔前の話ですが、アフリカ大陸に靴を売り込みに行った商人から、まったく正反対の報告があったそうです。一つは「靴を履いている人はほとんどいません。市場性はありません」というもので、もう一つは「靴を履いている人はほとんどいません。市場性は無限です」というものです。

 このようにまったく同じ事象を見ても異なる受け止め方をする人もいるので、誰からの報告なのかも注意しなければいけません。また物事を大げさに言う人、誇張して言う人がいるので、その報告の根拠となった事実を慎重に確認するべきです。

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筆者紹介

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講師 今井 繁之

シンキングマネジメント研究所代表

社内・お客様に「報告・連絡・相談」を徹底している会社は、この逆境にあっても、業績が長期安定することを長年の指導経験から実証。
リコー・ソニーに勤務時、論理的問題解決法であるKT法の社内指導を手懸ける。その後、1991年、シンキングマネジメント研究所を設立し独立。指導実績は、キーエンス・シャープ・コープこうべ・NTTデータ・リクルート・伊勢丹…等の企業で、年間1000人を超える社員・幹部に独自の問題解決法TM法を教える。 特にeメール時代の「報告・連絡・相談」の指導は大好評。著書「頭を使ったホウレンソウ」、DVD「営業マンの報告・連絡・相談」(弊会AV局刊)

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