【夏季・全国経営者セミナー】事業家・若手起業家…35講師登壇、経営者700名が集う3日間 

社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

27軒目 「なぜかミシュランに載っていない高級店」


「第三春美鮨」(東京・新橋)


 新橋の第一ホテルのそばに第三春美鮨という高級店があります。寿司職人をして「すごい」と言わせる店です。

 何が凄いのかというとこの店の店主の長山一夫氏が凄いです。

今回は大久保一彦の大好きなこの凄い寿司屋を紹介しましょう。

 カウンターに座ると、一枚のお品書きが置いてある。毎日変わるネタを産地、漁法、大きさ、マグロなどは熟成日数が書いてある。

 私はおまかせで握ってもらうことにしています。私がたっぷり食べることを頭にインプットしてくれている長山さんは、いつも、対比しながら食べ られるようにネタを提供してくれ、その微妙な味わいの違いを楽しませてくれます。


 例えば、マグロなら、熟成の度合いの違い、大間と戸井の違いなどでその違いを楽しませてくれます。あるいは、アジを生姜とワサビふたつの食べ 方で提供します。食べ比べてみると非常に面白く発見があります。


 また、おいしい寿司に留まらず、長山さんは日本の失われた寿司文化の復興に力を入れています。長山さんの店で軍艦巻きが置かれた瞬間にノリの 香りがすることがあります。これは、海苔自体が違うのです。


 この話をするには海苔の話をしないといけませんので、脱線して海苔の話をしましょう。

 昭和30年くらいから、板海苔の生産・乾燥は大型機械導入が始まり大量生産が可能になりました。しかし、その陰で、天日干しによるおいしい海 苔の生産は、入札基準の変更も相まって採算がとれずに急激に無くなっていきました。

 もちろん、その流れに逆行するかのような生産者もおりました。漁師滝口喜一氏です。滝口氏は頑固に昔ながらの天日干しの海苔を作り続けまし た。しかし、平成19年1月ついに当時81歳になった滝口氏は生産をやめたのです。

 今作られている海苔は「スサビノリ種」という品種です。これは昭和30年まで天日干しで作られていた「アサクサノリ種」とは別のものなので す。実は有明海でこのアサクサノリを再現した結果、アサクサノリ種にはスサビノリ種よりもグルタミン酸が1.6倍、イノシン酸が5倍も含有していることが わかっています。

 2001年ころ、NPO法人「播州海里の会」が発足されアサクサノリ種の海苔の生産を始めました。

 ただ、アサクサノリ種の生産はたいへんで残念ながら、まだ機械乾燥の段階です。


 第三春美鮨ではこの海苔を仕入れ、店では備長炭で炙っています。先ほどの香りは、このことに由来します。

 ちなみに、「播州海里の会」の最終目標は、天日干しに持ってゆき墨で炙って出荷することだそうです。


※「続仕入れ覚え書き(その56)」長山一夫著参照

長山さんは、昔の失われた江戸前の“職人の仕事”の復活をさせています。

 例えばづけ。づけは注文してからカットして漬ける店がほとんどです。しかし、このやりかたは江戸前本来のやり方ではありません。このやり方だ と、天然の本マグロが持つ血の香りと酸味が十分楽しめません。づけはブロックでづけにしてこそづけのおいしさが楽しめるのです。私は、本マグロ本来のおい しさにこの第三春美鮨のづけで気づいた気がします。


 長山さんは寿司をもっと楽しく食べて欲しいということから50歳過ぎてワープロを習ったそうです。そして、定期的に「仕入れ覚え書き」として レポートを発行しています。そのレポートが評判を呼び、自費出版することに。なんと1600冊を販売したそうです。また、この情報を見てもらうためにホー ムページも持ちました。このホームページには寿司と言う文化を楽しむための情報が満載です。

新橋の近くに行ったなら、ぜひ、第三春美鮨へ!



※ちくま新書より「寿司屋のカラクリ」を11月5日にリリースしました。寿司屋の現場を取材して、回転寿司から、高級店までおいしさのカラクリ を明らかにしています。
→本の購入ページはコチラ←

第三春美鮨
東京都港区新橋
電話 076-248-3970

ホームページ http://harumi-sushi.sakura.ne.jp/


バックナンバー

バックナンバーを全て見る

筆者紹介

画像 講師写真

講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

筆者の関連セミナー

シリーズトップへ戻る 経営コラムのトップへ戻る

画像 ページTOPに戻る