社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり
25軒目 「柳川名物うなぎ蒸し」
「柳川御花」(福岡県柳川市)
北原白秋のゆかりの地、柳川と言えば“川くだり”。一見すると、ただのよくある観光地なのですが、そこにはホスピタリティがあります。船頭さん が柳川弁で語りながら歌を交えて一時間。長いようだが、とても短く感じ、心がほっとします。

そして、もうひとつ忘れちゃいけないのが、“うなぎ蒸し”です。今では柳川の多くの店でやっている名物メニューです。
うなぎというのはとてもおもしろい食べ物です。その土地それぞれで食べ方が違うんですからね。
蒸してから焼く、東京風に香ばしい関西風。京都は、飲食店は東京風、お惣菜用は関西風てな具合です。
柳川のうなぎもユニークです。長崎に蒸し寿司という変わった食べ物がありますが、ここ柳川のうなぎはご飯にのせて蒸しあげた「蒸しうなぎ」スタ イルですから。すだれにのせたうなぎ飯を蒸し器で蒸した逸品です。
あつあつでとても体が温まる、個性があるうなぎの食べ方です。一度食べたら病み付きです。
このうなぎ蒸しを食べられる店は柳川のいたるところにありますが、なんといっても、歴史や文化とともに堪能できる旧柳川藩主立花家の子孫が経 営する料亭「柳川御花」が最高です。

「柳川御花」は四代藩主鑑虎が総面積七千坪のこの土地に、四方堀を廻らせた集景亭という邸を構えて、遊息の所としたのが始まり。この地域が「花 畠」という地名であったことから、柳川の人は「御花」と呼んだそうで、今では観光の中心となっています。
「柳川御花」には、立花伯爵亭を利用した料亭と国指定名勝 松濤園という庭を見ながら食事のできる和室や、明治時代の迎賓館として建てられた西洋館などがあり、とても充実した施設で、ウエディングにも人気がありま す。
まず、「柳川御花」についたら、まず、食堂のレジに行きます。そして、時間のかかる“うなぎ蒸し”を注文して、予約を入れます。あとはこの歴史 ある建造物や美しい庭を見ながら楽しんで待ちます。そうしていると、20分かかる“うなぎ蒸し”を待つ時間もあっと言う間に感じるはずです。
柳川という街は、古いものを生かし、街づくりに役立てています。各店がうなぎ蒸しという名物料理を売り、観光客に対して何かを感じさせてくれ ます。その背景にあるのは、この街のホスピタリティなのです。
古いものを壊すのでではなく、生かす。みんなで名物料理を売り、観光の目玉にする。そんな、共生こそが今求められているのです。
柳川 御花
〒832-0069 福岡県柳川市新外町1
TEL 0944-73-2189(フロント) FAX 0944-74-0872
ホームページ http://www.ohana.co.jp/home.html
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筆者紹介
講師 大久保 一彦 氏
日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役
10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化
日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、
多くの飲食経営本を著す。
飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。
日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。
(株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。
「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。
筆者の関連セミナー
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