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大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

103軒目 天ぷら不毛の地、本郷三丁目に高級天ぷら店を開店した塾生

 本郷三丁目を「食べログ」で「天ぷら」という検索キーワードで調べますと、3.5点を上回る店は、そば店が1件ございますが、天ぷら店はございません。そんな天ぷら不毛の地、本郷三丁目に塾生が天ぷら店をオープンしました。今回は応援の意味も込めまして『江戸前 晋作』を紹介したいと思います。

 オーナーの西村晋作さんとの出会いは、ほぼ毎年開催しています店舗見学会に参会いただいたことです。それ以来何度も参会いただき、目指す方向性を摺り合わせるために、いろいろ店舗に同行してディスカッションをくり返し、知り合ってから5年度ほどたった2016年の10月に無事オープンしました。

 「江戸前 晋作」という店名は鮨店にも見えなくありませんが、天ぷらを核とした和食店です。実は、予算に合う大江戸線の3番出口からなら1分で行けるとても便利な立地の物件を見つけたのですが、契約直前に大家さんから「看板に天ぷらと表示しないで欲しい」という申し出があり、浮き世の義理もあるため、家賃を低くしていただく代わりに大家さんの申し出を受け入れたということで、わかりにくいわけです。


 この店のウリはなんと言っても、上質な素材を江戸前の職人の粋の精神で素材の持ち味を活かした仕事をした天ぷらです。“天ネタ”は富津や小柴のなどの江戸前を種に、国内の活を主体とした魚と加賀野菜を主体とした野菜で、とても良いものを使っています。そして、日本酒がすばらしく、酒好きにたまらない石川の『菊姫』と富山の『満寿泉』を核に富山の『勝駒』を品揃えしております。


 テーブルに着きますと、『勝駒』や『菊姫』を一献いただくのがこの店の一番おすすめの過ごし方です。お酒をいただくと、かつおの一番だしが効いた、こちらのもうひとつのウリであります加賀野菜などを使ったお浸しが出てきます。


 西村さんの性格が良く出た皿で、華々しくはないのですがしみじみとします。敬愛する山本隆先生によれば、最初にお出しを飲んでいただくと、満腹感を抑えるとのこと。ちなみに、鰹節は本枯れ節の血合い抜き、旨味のマグロ節を配合して出汁を引いているそうです。

 私はワイン樽で熟成させた満寿泉にします。

 続いては、なんかんという揚げと昆布の煮物と烏賊の海胆和えです。料理自体は、地味ですが、なんかん、厚めの昆布、おかかの食感のハーモニーがなかなかで、いい仕事をしております。


 天ぷらは甑島の車海老からスタートです。頭の部分はサクサクに、尾っぽはしっとりといい感じに揚がっています。とても味わいのある海老です。


 続いては、新烏賊です。「素材の良さを引き出すために選んだ油はシリコーンの入っていないパセリ印の綿実油と太香胡麻油で配合しています」と口数の少ない西村さんにしては珍しく、説明してくれます。単価の割にいい油を使っていますね。で、フワサクの竹岡の鱚。鱚というと富津で、竹岡は珍しい。臭みがあるのか店主も心配らしく、「竹岡は大丈夫ですか?」と尋ねてきました。「いや、問題なく、美味しいよ」と返します。臭みがなく淡泊な鱚らしい鱚です。

 続いてはメゴチ。皮目の食感が鱚と違っていい感じです。

 魚の最後は、小柴の穴子で、80gちょっとのものです。天ぷらとしては最高のサイズ。最近江戸前の穴子は安定しないのだが、初めて飲食店やるわりにいい穴子を仕入れております。少し強めに火入れして、さくっとした食感がおいしいです。


 野菜は、加賀蓮根と五郎島金時です。加賀の八百屋さんが寝かせて出荷するので、根ものは最高ですと西村さん。確かに、かなりおいしい。


 最後に昆布〆にした雲丹を大葉で巻いた天ぷらを追加してみます。こちらは雲丹の甘さとうまさが広がります。


 〆はこちらのスペシャリテの鮪茶漬け。普通、天ぷら店は、天茶(天ぷらのお茶漬け)か天丼が多いが、それだと、「しばらく天ぷらはいい」と感じるという西村さんの経験に基づき、このアイデアにしたそうです。鮪茶漬けというと『竹葉亭』を思い出すが、こちらはどうでしょう。


「(お・お・お・お~)、これは、胡麻がきいていてうまい!」
鮪の血の酸味を活かすため、濃厚な胡麻のタレにしてあり、出汁ではなくお茶をかけるそうです。ちなみに、ご飯は羽釜で炊いています。この鮪茶漬けは万人受けしそうですね。

 こじまんりとしている店で、お酒が充実していていいですね。接待にも使えて良さそうです。発展を期待したいですね。

江戸前 晋作(しんさく)
東京都文京区本郷4-2-4 加藤ビル1階
TEL:03-5615-8728
FAX:03-5615-8720
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筆者紹介

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講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

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