【商品発送開始!】「春季・全国経営者セミナー」講演CD・DVD 

社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

102軒目 予約の取れない天ぷら店

 先般ご案内しました私の最新刊『非常識に売れる最強メニューがだれでもつくれる成功方程式』(2016年9月ぱる出版)では「おいしいという感情の点数化」にチャレンジしました。今回は予約の取れない天ぷら店『たきや』を点数化しながら、この店の人気の秘密を掘り下げましょう。
 本書では、おいしいという感覚についてはいろいろ評価項目があるというさわりの話をしました。この評価項目は大きく、すでにブランド力や立地などできまってしまうおいしさと(基礎加点項目)、料理の内容、作りで大きく返られる(フリープログラム)にわけられます。これは、本が完成した後、フィギュアスケートのショートプログラムとフリープログラムに分けるとわかりやすいことを発見しました。 今回のコラムはこのことを前提にお話することにします。

基礎加点項目
 まず、料理以外の評価となります“基礎加点項目”についてみていきましょう。こちらは、すでに決まっている条件で、オーナーの経歴や現状などのブランド力やその店のある立地などを点数化した項目です。経歴は“輝かしい経歴”と言われるタイトルにあたるものです。

●基礎加点項目 合計+125点

吉兆出身+20点、リッツカールトン東京出身+20点、
リッツカールトン大坂出身+20点、現在有名店+20点、
現在有名シェフ+20点、食べログ4点以上+20点、
麻布十番+5点


同じ麻布十番でも何もタイトルのない無名なシェフであければ+5点ですから、この基礎加点項目は馬鹿にできない項目だとわかります。

フリープログラム
フリープログラムは誰にでもプログラム内容を自由に組み合わせておいしさの表現ができるところです。基礎加点項目がない場合はこちらのプログラム編成をするときに、フィギュアスケートで言えば“四回転ジャンプ”を4回入れるようなことをすれば、ビハインドをリカバーできます。
 では、各料理を見ながら検証しましょう。


1 『たきや』名物前菜八寸
カウンターに着席すると房総の450gの黒鮑は切りつけを始め、ひとつひとつ大きさが違う素敵な兎の器に盛り付けます。この小皿自体、松茸(+20点)としその花をのせた大原産(+10点)の黒鮑(+20点)を、最初に目の前でカットして(+20点)する加点の多いプログラムです。これを、キャビア(+20点)をのせた焼き茄子すり流しや、新イクラ(+15点)、カマスの寿司(+10点)、菊の浸し、山葵の葉をのせたもずくと十五夜の月に見立てた半月お盆に盛り付けます。


前菜八寸の加点

鮑+20点(最初に目の前でカット+20点)、大原産+10点、キャビア+20点、
イクラ+15店、松茸+20点、寿司+10点
(天ぷら店ではありえない食器)+20点
加点ポイント合計+135点



2 車海老鬼がらサクサク

海老+20点 サクサク+20点、
シェフが目の前で仕上げる+20点
加点ポイント+60点



3 銀杏

かりっ+10点
シェフが目の前で仕上げる+20点
加点ポイント+30点



4 海老

海老+20点、かりっ+10点、ふわっ+20点
シェフが目の前で仕上げる+20点
加点ポイント+70点



5 帆立

帆立+15点、さくっ+20点
シェフが目の前で仕上げる+20点
絶妙な火入れ(中心レア)+10点
加点ポイント+65点



6 松茸をサンドした鱚

さくっときてしっとりふわふわです。
ゆずカボススダチみかんの掛け合わせをかけて
松茸+20点、さくっ+20点、ふわ~+20点
シェフが目の前で仕上げる+20点
加点ポイント+80点


7 無花果の天ぷらに京鴨

京鴨 鴨+10点 京都産+10点
かりっ+10点、とろ~+20点
熱い+冷たい→うまい+20点
よく知っている食材の意外な組み合わせでうまい+20点
シェフが目の前で仕上げる+20点
加点ポイント+110点



8 ローストビーフとサマートリュフのサラダ ~ 温玉の混ぜて

和牛+15点、ローストビーフ+10点
サマートリュフ+20点
温玉+10点
加点ポイント+55点



9 山口萩の甘鯛と雲丹、イクラの塩気で

あっさりした甘鯛と雲丹の甘みをイクラの塩気で食べさせるという面白い組み合わせ。
甘鯛+5点、雲丹+20点、いくら+15点
かりっ+10点、ふわ~+20点、
熱い+冷たい→うまい+20点
意外な組み合わせでうまい+20点
シェフが目の前で仕上げる+20点
加点ポイント+130点



10 山口の白オクラの天ぷら

かりっ+10点
シェフが目の前で仕上げる+20点
加点ポイント+30点



11 名物の鹿児島のシャトーブリアンの天ぷら

和牛+15点、A5+20点、鹿児島産+3点、
シャトーブリアン+10点、さくっ+20点、
意外な組み合わせでうまい+20点
シェフが目の前で仕上げる+20点
加点ポイント+108点



12 鳴門金時

かりっ+10点、
シェフが目の前で仕上げる+20点
加点ポイント+30点



13 二回目の海老

 



14 松茸土瓶蒸しをオマージュした天茶

さあ、ショーが始まるようです!鰹の一番だしに松茸のスライスを入れて…軸は裂いて松茸と三つ葉のかき揚げに…

松茸の天茶を松茸たっぷりのだしでという攻めのヒトサラ
松茸+20点、箱ごと提供+20点、
松茸だし+20点
シェフが目の前で仕上げる+20点
あり得ない高級食材の贅沢さ+20点
加点ポイント+100点

ちなみにここまでの、料理の加点ポイントは1,063点ですね。


15 ポルト酒を隠し味にしたメロン

ライムと生姜のアクセントがいいですね。
メロン+10点、意外な組み合わせでうまい+20点
加点ポイント+30点



16 わらび餅

とろ~+20点



デザートまで含めると1,113点の超高得点ですね。
基礎加点項目 合計+130点と併せて、1,243点です。
これはなかなかない、四回転ジャンプを4回飛ぶようなプログラムエレメンツです。凄いです。


マイナスプロトコール
 最後に、減点材料をチェックしましょう。基本的に、高級料理店がしっかり味決めができていれば、上記のプログラムに組み込んだ“四回転ジャンプ”は成功です。しかし、ジャンプに失敗すると加点されません。実際、『たきや』の運営は隙がなく、減点材料はほとんどないと言えるでしょう。
 唯一、あるとすると大きな減点材料となる、コストパフォーマンスでしょう。続いては、コストパフォーマンスを検証してみたいと思います。
 まず、下記の事前期待会計額と実際の会計金額のギャップ(満足度)調整指数表をご覧ください。こちらの係数をかけるとコストパフォーマンスの調整ができます。

事前期待会計額と実際の会計金額のギャップ調整指数


  事前期待会計額
19,500円~26,900円

14,000円~19,500円

9,800円~14,000円 7,000円~9,800円 5,000円~7,000円 3,500円~5,000円





5,000円~7,000円 2.2 2 1.7 1.4 1

0.7

7,000円

~9,800円

2 1.7 1.4 1 0.7 0.58
9,800円~1,400円 1.7 1.4 1 0.7 0.58 0.5
14000円~19500円 1.4 1 0.7 0.58 0.5 0.45
19,500円~26,900円 1 0.7 0.58 0.5 0.45 0.42
26,900円~37,700円 0.7 0.58 0.5 0.45 0.42 0.38


 高級天ぷら店というと税込19,500円~26,900円くらいを想像でしょう。
『たきや』の実際の支払額は33,300円くらいから34,000円です。したがって、事前期待会計額と実際の会計金額のギャップ(満足度)調整指数の0.7を上記に乗じます。

1243点×0.7 = 870点


となります。大きく点数は下がりますが、かなりの点数ですね。
 ただし、2回目の以降の来店客はこの支払い額にある意味納得しておりますので、調整指数は1となり、1,243点、そのままの評価を得ます。実際、『たきや』はリピーターが多いという事実がこの点を裏付けているように思います。

バックナンバー

バックナンバーを全て見る

筆者紹介

画像 講師写真

講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

筆者の関連セミナー

シリーズトップへ戻る 経営コラムのトップへ戻る

画像 ページTOPに戻る