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第66話 所有不動産に仮差押・差押をされたら…(3)

地方税を滞納している状態で、所有不動産が無剰余の状態だからといって安心していると、市区町村から突然その不動産に差押をしてくるということがある。

「無益な差押え」を禁じた法の趣旨からしてこれに異議を申し立てれば、差押解除をしてもらえると主張する再生の専門家も多いが、じっさいのところそんなに簡単には差押解除にはならない。

まず、不服申し立ては処分を知った日から60日以内でないとできないのだ。そして、異議申し立てをその期間内に行っても棄却されることになる。事実上この救済制度は機能していない。その結果として下記のような棄却の文書が自治体より届く。


どうしてこうなるのかというと、市区町村などによる無剰余不動産への差押は、地方税法第373条7項(注1)、国税徴収法第48条2項(注2)という根拠条文により禁じられているのだが、これを覆す判決があるからなのだ。平成11年7月19日高松高裁判決がそれにあたる。その内容を下記に記しておくとこうなる。

差し押さえることのできる財産の価額や優先する債権の金額の正確な評価は実際上必ずしも容易ではなく、その厳密な評価を要するとすると滞納処分の円滑な遂行が期待できないこと、優先する債権の金額は弁済などによって減少する可能性があること等を考慮すると、差押えの対象となる財産の価額がその差押えに係る滞納処分費及び徴収すべき税に優先する他の税金その他の債権額の合計額を超える見込みのないことが一見して明らかでない限り、直ちに当該差押えが違法となるものではない(平成11.7.19高松高判参照)以上引用元: 国税庁「第48条関係 超過差押え及び無益な差押えの禁止」

では、「不動産の時価がいくらくらいで、その不動産で担保されている債務がどのくらいあればあきらかに無剰余と考えてくれるのだろうか?」と考える人もいるだろうが、これがじつにいいかげんなのだ。
仮に、時価1億円の不動産で、不動産鑑定士の評価額が9千万円、そしてその不動産に6億円の根抵当権が設定されていて債務が6億円あった場合(下記図の例)、この債務者が破たんしていてこの不動産以外に資産がないとしても、地方自治体による税金滞納にもとづく差押に異議申し立てをした場合、1か月ほど後には「本件異議申し立てを棄却する」という内容の決定がくだされることが多いのだ。


ではこの場合どうしたらいいのか?

じつは妙手はあるにはあるのだが、公にするべきことではないうえに、条件があわなければその手も使えないことになる。

やはり、仮に支払が遅れたとしても誠実に話し合いをして、早く支払い、遅れをとりもどすことが一番よいことなのだ。


(注1)

地方税法第373条7項

(固定資産税に係る滞納処分)
第三百七十三条 固定資産税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該固定資産税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。

―省略―

7 前各項に定めるものその他固定資産税に係る地方団体の徴収金の滞納処分については、国税徴収法に規定する滞納処分の例による。

(注2)

国税徴収法第48条2項

第四十八条
国税を徴収するために必要な財産以外の財産は、差し押えることができない。
2 差し押えることができる財産の価額がその差押に係る滞納処分費及び徴収すべき国税に先だつ他の国税、地方税その他の債権の金額の合計額をこえる見込がないときは、その財産は、差し押えることができない。

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筆者紹介

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講師 坂田 薫

企業再生コンサルタント

東京都中小企業振興公社の事業承継・再生支援事業登録専門家。専門は企業再生、ビジネスモデル、WEBマーケティング、SEO。ITと絡め、新しい成長戦略を立案、事業を軌道に乗せる実力コンサルタント。 金融機関にて20年に渡り、外為審査、ドル円中心のデイーリング、外為日銀担当等を経て、支店の融資担当次長を経験、数々の事業プロジェク トに財務と事業モデル開発の両面から支援。1000社以上の企業に携わる。  著書は「1年で黄金の会社を生み出すカラクリ」「決算書からお金持ち会社の作り方がわかる」、「社長さん!あなたの資産と会社を守る最後の一 手、教えます!」

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