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社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

96軒目 地方郊外で和食店が成立する条件

 福岡は魚の産地ですが天ぷらの専門店が少ないです。『天ぷら平尾』くらいしか思いつきません。それはうどん屋や居酒屋が強いからか、理由は不明です。
 しかし、どうしても天ぷら屋に行きたかったので、コンピューターと睨めっこして探すことに、ようやく、良さげなみを見つけました。それが、今日、御紹介の『天ぷら たけうち』です。

 しかし、問題があります。場所は“新幹線”の“博多南駅”という駅であること。
「なんだろう、博多南って」住所を見ると「福岡県筑紫郡那珂川町今光6-64-1」とあります。マップに入力すると「現在地から8.5km」と出ます。
「こんな近くに新幹線の駅があるのだろうか?」
 「駅すぱーと」で調べると、乗車券200円、特急券100円でいけるとあります。しかし、電車は「JR特急」と書いてあります。で、電車が一時間に一本で9分で着くらしい。意味不明なので、「駅すぱーと」を信じて、博多駅に。
 すると、ハンズ口の券売機のそばにいる係員さんに聞くと、券売機のセットをしてくれて、乗車券+特急券で確かに300円。ずっと突っ切って一番奥の「新幹線フォーム15番線に行ってください」とのこと。無事、1時間に一本のレアな博多発博多南行き、9分の旅に出ました。
 タクシーの運転手さんに伺う、「どうやらこの区間だけのJR九州のJR西日本から車両を借りてのチャーター便で、一日3000人乗車が損益分岐点、でも20年たった今1万5千人乗って、足となっている」とのことです。いやー、勉強になりましたね。

 そんな感じでお話ししていると、駐車場2台が入口回りにある『天ぷら たけうち』があります。店内に入ると、感じのよい奥様がいらっしゃり、26歳で独立したと言う店主がカウンターにいらっしゃいます。二人で営業しているため、完全予約制で、コースのみになっているそうです。今日はせっかくですので6000円コースを勉強したいと思います。

 まず、焼きゴマ豆腐・松葉ガニのあんからスタートです。お酒は、京都宮津のハクレイをあわせてくれます。


 そして、刺身と続きます。次々と出てくるようです。まず、玄海の2.7kの真鯛です。福岡には珍しく寝かしてあり、旨みがあります。さらに鮎の魚醤でインパクトがあります。


 ふっくらした長崎の赤ムツが続きます。岡山の牡蠣オイル漬け、温めてあります。五島の真鯖・ポン酢のジュレ添え。鯖は締めて藁で燻しています。


続いて、焼き物、鰆の味噌柚庵焼きが供せられます。お酒のあてにと、車海老の味噌と芹と大葉の珍味が出てきます。大葉の爽やかな香りがとてもいい一品です。



 からすみが出て、百合根と新潟の岩海苔の茶碗蒸しがきて、ふたつめのお酒、青森豊盃がきます。



 蒸し鮑に続いて、5日寝かせた鰆と蝦夷馬糞ウニの握り、天草の海苔で巻いた壱岐の天然本鮪の手巻きが続きます。



 天ぷら屋というと、刺身の盛り合わせがつくか、つかないかで、しかも、そんなにすごい刺身が来るわけでもないというのがパターンですが、そうではないのがこちら『天ぷら たけうち』のパターンのようです。
 聞けば、店主は、独立前は神楽坂の和食店で、修行したとか。私は思わず、「わかりやすく、天ぷら屋にしたんですか?」と聞くと、この地で、懐石コースは難しいということで、わかりやすく天ぷらでスタートして、余裕が出たらいろいろやろうということだそうです。開店して10年以上たち理想像に近づいたそうです。

 さて、ここまでの料理で十分6000円分くらいの料理のようには思えますが、メインの天ぷらがようやくスタートです。まずは、天草の車海老からスタートです。


 大きな、玄海の子持ちのハゼが来ます。これは美味しい。


 合馬の筍、北海道雲子と続いて、水菜となんかんあげのお浸しが箸休めで出てきます。なんかん揚げとは熊本南関町の分厚い油揚げで、南区の『ごさの』の稲荷で浸透、それがいろいろな店に広がったそうです。


 熊本の原木椎茸と北海道の帆立、玄海のスミイカ、熊本バッテン茄子と続きます。茄子がジューシーで食感が良く、うまいですね。聞けば、バッテン茄子は大阪水茄子系統を熊本のJAが品種改良したそうです。


 岩手大船渡牡蠣、糸島のぶっといアスパラが出て、ここまででひと通りです。



 「何か他にネタありますか?」と聞くと、キスと銀宝と蓮根があるということなので、追加は、まず銀宝にします。銀宝には、錦銀宝と大難銀宝がありますが、こちらは錦銀宝ですね。こちらの漁師さんは資源的価値がないため捨てていたとのこと。まだ、銀宝の時期としては早いですが、この時期にしては身厚です。ふわっとした身、皮がもちっと美味しい。佐賀の蓮根もうまい。



 〆は天茶。味噌汁、香の物がつく。香の物もうまい。


 帰り道は15分歩きましたが、とてもウキウキした気分になれました。博多駅界隈に泊まっていれば、電車の時刻にさえ合わせれば、そんなに遠くなく、費用もかからないので、訪問する価値があると言えるでしょう。

 天ぷら屋に見せて、実はコースのみ。そして、和食のコースのような構成になっている。何か、地方で和食店が成功するヒントいただいたような気がした。

天ぷらたけうち
福岡県筑紫郡那珂川町今光6-64-1
電話 092-953-1699
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筆者紹介

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講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

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