社長のための「コラム&NEWS」
酒井英之の「Nロード経営法」

第3話 「なんとなく」を見える化する

新たな成長軌道を描くNロード経営第三弾は「なんとなく」を見える化する、です。

あなたは今、自分の会社に「なんとなく…」と感じていることはないでしょうか?

なんとなく、儲かっていないのでは…
なんとなく、お客が離れているのでは…
なんとなく、従業員がやる気をなくしているのでは…など、
この「なんとなく」は多くの場合、当たっています。

が、「なんとなく」のままではなかなか手を打てません。
「なんとなく」で動けるのは経験豊富な人だけです。
誰よりも場数を踏んできた創業者なら、自分の直感を信じて動けます。
そのため「なんとなく」を感じた社員は、黙って社長の出方を伺います。

ところが、社長が一向に動かないときがあります。
社員は「社長が手を打たないのだから大丈夫だろう」と安心します。が、幹部たちは不安でたまりません。
社長が動かないのは、この問題に気付いていないのか、それともわざと見送っているのかわからないからです。
そんなとき、この「なんとなく」を数値で測ることができれば、誰でも「このままではやばい!」と感じて早急に手を打つことができますよね。

そこで、ある用品チェーン店の二世経営者は自分たちが中心になって、中期経営計画を策定するときにこの「なんとなく」の見える化にチャレンジしました。

同社はそれまでの数年間は昨対マイナスが続いていました。
また、創業社長は近い将来の代替わりを予定しています。
そこで社長は思い切って次世代の幹部たちに中期経営計画を作ってみるように指示しました。
自分たちの羅針盤を自分たちで創る場を提供したのです。

幹部たちが共通で感じていた「なんとなく」は「最近作った新店が儲かっていないのでは?」でした。
同社では各店の力を売上の大きさだけで測っていました。
が、これだと面積の大きな店が上位になってしまいます。

そこで、幹部たちは店の優劣を測る物差しを2つ用意しました。
ひとつは、売上を面積で割った1平米当たり売上高。
もうひとつは、各店のカテゴリー別の在庫を売上高で割った在庫回転率です。

すると、その新店は1平米当たり売上高が平均よりも低く、なおかつ特定カテゴリーで2年分もの在庫を抱えていることがわかりました。
そこで、実際の売り場の状況はどうなのか現場を確認しました。
するとその店は二階建てだったのですが、お客様から見て二階にも売り場があるようには見えず、二階に行くお客様がほとんどいなかったことが判明しました。

導線とレイアウトの問題だと気付いた幹部たちは、早速、店の改善に乗り出します。
二階の奥の売れ筋商品を一階に持って来たり、二階までの導線を確保したりしたのです。
これにより、この新店の業績は急上昇。
幹部たちは、「なんとなく」を数値で測り、見える化することに確かな手応えを感じました。

そんな幹部たちの次の問題意識は「1平米当売上げの低い店は、果たして客が来ていないのか、来ているけど買っていないのか?」でした。
そこで、その年に入った新入社員十数人を問題の店に配置し、来店客の動きを観察する新人ウォッチ調査を行いました。

すると、家族で来ているお客様が子供用の商品だけを買って、お母さんが自分のものを買っていないことがわかりました。
また、そのような店では客層の年齢が30~40歳代の人が多いのに、その世代向けの商品の品揃えが薄いこともわかりました。
新人ウォッチ調査によりこれらの事実をつかんだ幹部たちは、店長たちと一緒になってどんどん改善しました。

そんな彼らが策定した中期経営計画には、改善から生まれた新たな気づきが方針として盛り込まれました。

たとえば、既存店のタイプを4つに分類し、それぞれの特性に合わせた店づくりをすること。
そして、新店を出店するときは必ず商圏分析ソフトを用い、その結果から出店の可否を判断するなどです。
その結果、同社の業績は急回復し、中期経営計画を策定した翌年には前年の利益の8倍、さらにその翌年には中期経営計画策定前の15倍の利益を出すことができました。

この間、一番変わったのは、幹部と社員たちの意識です。
それまでの「社長の指示を待つ」受け身体質から、自分たちが感じている「なんとなく」を自分で測って自分で解決できる創発集団に変わったのです。

こうして書くと何とも当たり前のことをしただけですが、当たり前を当たり前に、創業者が「勘」で判断していたことを数値で見える化すると、こんなにも経営は楽になるのです。

読者の皆さんに、もう一度言尋ねします。

あなたは今、自分の会社に「なんとなく…」と感じていることはないでしょうか?
あれば、その「なんとなく」を測ることができないか考えてみましょう。
そこから、新たな成長軌道が始まるのです。


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筆者紹介

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講師 酒井 英之

事業と組織のN字成長コンサルタント
(株)V字経営研究所 代表取締役

主力事業の業績が伸び悩む企業を次々と増収増益の組織へ進化させる実力指導者  ブラザー工業㈱に入社。ワープロ営業部に配属。市業績低迷が続く中、起死回生の商品開発の指令を受け、若手を中心にラベルライターの「P‐touch」を考案。この商品は今も、全米でシェア70%、国内ではトップシェアを誇るロングセラー商品に大成長。強い組織づくりの基礎を経験。情報機器メーカーへN字成長する一翼を担う。また、コピー機事業部では営業担当として売れない商品を売りまくり、優秀賞を7回受賞。コンサルタントとして独立、世界シェアNo.1の大企業から10人の中小企業まで、約400社の業績停滞企業における主力事業の再生指導・組織進化を手掛ける。シェア8%の商品が70%に躍進した例や、最後発から売り方を進化させ、No.1企業へ成長した例など、社長と組織を時代に合わせて進化させる独自の指導を行う。

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