社長のための「コラム&NEWS」
酒井英之の「Nロード経営法」

第1話 常識破りを生み出す発想法

この度、日本経営合理化協会の要請を受け、既存事業が頭打ちとなった状況を打破し、再び、成長軌道に乗せるために、企業が何をやるべきか。という経営テーマについて、私の持てる知識と経験を事例と共に書いてみたいと思います。

全部で5回連載となりますが、よろしくお願いいたします。

さて、まず最初の話題は、サッカーの女子W杯から始めたいと思います。昨日、3連勝でグループ首位通過を果たしましたね。今回も決勝トーナメント進出が確定しました。

前回まで、私は女子のサッカーはスピードに欠けて面白くないと思っていました。さらに日本は弱くて、早々に敗退すると思っていました。

ところがどうでしょう。イメージと現実はまるで違いました。
決勝の澤選手の延長同点ゴールなんて、芸術そのもの。そして、優勝した後の宮間選手のコメントがまた凄い。

「ドイツにもアメリカにも90分以内で勝ったわけではない。90分以内で勝たないと、本当に勝ったとは言えない。」
すごいプライドだな、と思います。こうした強い精神力から、世界一の栄冠が生まれたのです。

ビジネスでも、私たちが知らず知らずのうちに常識に縛られているケースが多々あります。そして、それを打ち破るところからヒットが生まれます。今回はそんなケースを紹介したいと思います。

皆さんの家にはハサミがありますよね。ではそのハサミで何を切っていますか?
もちろん…「紙」ですよね。では「紙」は、家庭で切るもののうち何%を占めるでしょう?

実は、ハサミで切るものは、この20年間で随分変わりました。以前は紙や布が主流だったのですが、近年は段ボール、ペットボトルやCDなどのプラスチック、野菜、ビニール紐、粘着性の高いテープなど切りにくいものが増加。
紙のウエイトはわずか20%程度にすぎなくなったのです。

そんな変化に目を付けたのが文具メーカーのPLUSです。切るときに手が痛くなる悩みを解決するために、刃にカーブ施した従来3倍軽く切れる定価300円のハサミ「フィットカットカーブ」を開発。

この商品は2012年に発売され、初年度だけで250万丁を売るハサミとしては空前の大ヒット商品となりました。

そのヒットの秘密は…切れ味にあることはもちろんですが、開発の担当者が特にこだわった点があります。それは持つところの「色」です。

ハサミの色、と聞いて何色が思い浮かびますか?
過去の定番は黒、または青です。経営陣は、当然、「フィットカットカーブ」も黒と青のラインナップで世に出すものと思っていました。

が、女性の開発マネージャはここである決断をします。それは、敢えて定番である黒と青を使わないことです。もし定番の色を出すと、営業マンは定番色ばかりを売ってしまう。それでは、従来と同じ量しか売れない、と考えたのです。

マネージャの頭の中には、今回の「フィットカットカーブ」を単なるヒット商品に終わらせず、「No.1を獲りに行く」商品にしたいと思っていました。それには従来の常識の壁をぶち壊す必要があったのです。

そこで彼女が注目したのは歯ブラシでした。4人家族の家には、当然歯ブラシは4本あります。間違いを防ぐため色はバラバラです。
そこでハサミも、一家に一本ではなく、4人家族には4本。しかも色はバラバラで…と考えたのです。

歯ブラシの色は、シャーベットカラーとよばれるものです。その色をそのままハサミに応用しました。この企画案に、当時の経営陣は驚きました。

長年、ハサミといえば黒と青で売ってきた人たちです。彼らの頭の中には「なぜ、黒と青を作らないのだ?」「こんな色のハサミが売れるのか?」の「?」だらけです。

そこでマネージャ以下の現場のスタッフは、自分の友人、知人の主婦50人にカラフルな「フィットカットカーブ」を評価してもらう調査をしました。
その結果、それらが魅力的であること、店頭でも目について買いたくなることを確認したのです。

この調査結果には経営陣も納得し、「フィットカットカーブ」は5色のシャーベットカラーで発売されます。そして、その年のヒット商品番付5位の大ヒットとなったのです。
http://bungu.plus.co.jp/sta/product/cut/fcurve/index.html

常識を疑え、とは誰でも言うことですがそれを打ち破るのは容易ではありません。それを可能にしたのは、女性マネージャの高い理想でした。その理想に全社員が呼応したのです。

なでしこの強さも、宮間主将の高い理想に、チーム全体が呼応しているのでしょう。
「理想を、もう一段高くする」
それこそが、常識を打破する第一歩なのです。


2015年8月の公開セミナーのご案内


『Nロード経営法』【日本経営合理化協会様主催】

当社が古いやり方に縛られ、イノベーションを起こせずに伸び悩む企業のN字成長をお手伝いするときの独自ノウハウを、昨年から一層バージョンアップして1日のセミナーでお伝えします。

開催:平成27年8月7日(金) 10時~17時
場所:目黒雅叙園

下記で案内しておりますので、興味のある方はご覧ください。
http://jmcasemi.jp/seminar/seminar.php?CONTENT_ID=956

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筆者紹介

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講師 酒井 英之

事業と組織のN字成長コンサルタント
(株)V字経営研究所 代表取締役

主力事業の業績が伸び悩む企業を次々と増収増益の組織へ進化させる実力指導者  ブラザー工業㈱に入社。ワープロ営業部に配属。市業績低迷が続く中、起死回生の商品開発の指令を受け、若手を中心にラベルライターの「P‐touch」を考案。この商品は今も、全米でシェア70%、国内ではトップシェアを誇るロングセラー商品に大成長。強い組織づくりの基礎を経験。情報機器メーカーへN字成長する一翼を担う。また、コピー機事業部では営業担当として売れない商品を売りまくり、優秀賞を7回受賞。コンサルタントとして独立、世界シェアNo.1の大企業から10人の中小企業まで、約400社の業績停滞企業における主力事業の再生指導・組織進化を手掛ける。シェア8%の商品が70%に躍進した例や、最後発から売り方を進化させ、No.1企業へ成長した例など、社長と組織を時代に合わせて進化させる独自の指導を行う。

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