社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

80軒目 地方の中国料理店でありながら、コース料理のみで勝負する店

 毎年恒例の日本経営合理化協会主催繁盛店見学会。今年は、福岡、唐津、佐世保を訪れました。その中でも、印象的だったのは、オープンしてまだ一年ですが予約でいつもいっぱいの『新心花梨』でしょう。

写真:新心花梨看板


 佐世保市の人口は現在26万人で人口は微増しています。佐世保と言うと、レモンステーキと佐世保バーガーが有名で、今回の見学会でもレモンステーキの老舗の『本陣』や佐世保バーガーの『ログキット』を訪れました。そんなB級グルメの街ですが、接待するような店があまりないのも事実のようで、近くにありますハウステンボスを利用することもあるそうです。

 このようなある意味空洞のマーケットを狙ったのが今回ご紹介します『新心花梨』です。

写真:新心花梨の前


 オーナーシェフの浦田修氏はハウステンボスJR全日空ホテル開業から資本関係が変わるまで料理長を務められ、来店される人達を魅了してきました。今回のセミナーでは、その浦田氏からお食事をしながらいろいろなお話しをうかがうことができました。

写真:オーナーシェフ浦田氏


 浦田氏は地元で修業の後、若いころからホテルの厨房で研鑽を重ねてきました。香港から派遣された現地の料理人との交流はとても刺激を受けたそうです。

 ハウステンボスに全日空ホテルができると聞いて、当時の全日空ホテルの総料理長の麥 燦文(バク サンブン)氏に手紙を書いて「料理長をやりたい」と直談判したそうです。そして、その心意気が通じて、麥 燦文氏の面談となりました。年功序列の中国料理の世界にあって、手紙を書くことも凄いが、その心意気を感じて面談された麥 燦文氏の懐の深さも素晴らしい。そして、役員の試食会を経て、開業時の料理長に就任したそうです。

 香港の料理人に影響を受けた自由な発想は、東京の全日空ホテルとは全く違う料理を提供していたようですが、黙認というか、麥氏の信頼を得てきたそうです。

 店は完全予約制です。昼は1500円、夜は3000円以上のコースのみです。アラカルトはありません。お客様のご希望を聞いて真剣勝負スタイルです。一万円以上のコースを頼まれる日もあるそうです。その場合は、地元の大きな伊勢海老を使ったり、北京ダックを出したり、いろいろなことをして喜んでいただくのだそうです。このやりかたは、食材のロスは出ませんが、常に料理を考えないといけないスタイルです。

 かつて、千葉の名イタリアン『カステロ』を紹介しましたが、全く同じやりかたです。

 夜のコースに必ず入るようにしているのが太白胡麻油であえた爽やかな長崎の地魚を使ったカルパッチョです。見学会の日、ヒラマサが供せられました。あっさりしていながら、おいしいですね。

写真:ヒラマサのカルパッチョ


 私が、コンサル目線で浦田氏の料理が評判だった理由を分析すると、ひとつは銘々皿で提供していたことがひとつあげられます。浦田氏は接待時に接待する人も同じ料理を食べていただきたいということから、大皿料理ではなく、銘々皿で提供してきました。銘々皿で提供すると批判もありますが、独自のスタイルを作ったと言えます。

 そして、対比の楽しさを提供していることです。今回は、佐世保らしい食材のウチワエビを提供いただきましたが、ベーコンで巻いた海老マヨネーズと揚げ物が真丈にしたものの二種の楽しみで提供していました。これが、私の提唱する顧客教育のメソッドの対比メニューです。浦田氏はどの料理も二種対比形式にして常に実行しています。

写真:ウチワエビ 2種の楽しみ


 三番目の理由、浦田氏の料理が評価された理由に、料理の独創性があげられるでしょう。香港の料理人と交流したおかげで、発想が豊かで、他の料理人とは何か違うアクセントがあり、それがわかりやすかったと思います。

写真:独創性のある料理


 店内の装飾品はほとんど自作だそうです。とても器用ですね。

写真:新心花梨店内の様子


 小さな努力を積み重ねる大切さを再確認しました。
 ありがとうございました。

写真:大久保一彦と新心花梨オーナーシェフ浦田氏


新心花梨
長崎県佐世保市三浦町2-1 アルファビル 1F

電話 0956-76-8447
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筆者紹介

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講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

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