社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

79軒目 香港で流行の“新広東料理”と香港ラーメン

 人口減少、生産年齢人口の激減が顕著になり、『四方よしCLUB』の会員様や私の教室の卒業生から、海外出店のご報告をいただくことが多くなりました。今回訪問した香港でも、以前紹介しました『鮨よしたけ』の香港店『Sushi Shikon (すし志魂)』は香港で三ツ星に輝いたという情報をいただいております。私自身は、まだ仕事には至っておりませんが、ドバイに始まり2013年のバンコクなどの海外からの出店、海外への出店の案件の打ち合わせが少しずつ増えています。

 そんな状況下で、とある“魚屋の御曹司”より、香港をご案内いただけるという打診があり、早速、11月に香港の視察を敢行しました。その中から面白い店を紹介しましょう。

 香港というと、水槽から取り出した魚を料理するというベタな海鮮料理のイメージがある人も多いと思います。香港に観光に行けば、そのような定番的な店がならぶエリアで“現地の醍醐味を味わう”という意味で訪問するかたも多いでしょう。さて、今回は…

 その“御曹司”と香港で落ち合う予定でしたが、数日前に飛行機がとれなかったので、初日は、ピンチヒッターとして沖縄出身で現地に10年以上お住まいのKameshimaさんにご案内をお願いしようと思っていますがいかがでしょうかと打診がありました。いかにも“御曹司”らしい出来事だったが、これも何かの縁、もちろん、その提案にのることにしました。初対面になるKameshimaさんとは宿泊予定の九龍の『W酒店(ホテル)』で落ち合うことにしました。KameshimaさんはITで成功された後、数年前より、日本の素晴らしい食を伝えようと、日本の食品を香港に紹介し始めたそうです。

 羽田10時15分発の飛行機にのっても現地到着は14時過ぎです。そこから、便利なエアポートエクスプレスに乗り継ぎ九龍に向かいますが、結局ホテル到着は15時過ぎになってしまいました。ホテルのロビーに着くと、Kameshimaさんが私を見つけ挨拶をします。ひと休憩したいのもあり、部屋に荷物を降ろして、香港では珍しくなった伝統的な建築様式の『半島酒店』(ペニシュラホテル)のロビーでアフタヌーンティをすることにします。早速タクシーで半島酒店に移動しますとやはり行列しています。

 やはり人気で、30分ちょっと待って、ようやく席に案内されました。こちらは宿泊していないと予約はできず、ウォークイン(並んで)でしか入れなくなりました。早速、名物の“アフタヌーンティセット”を注文します。

 ただし、この時間にこのアフタヌーンティセットを注文するととても量がありますので、おいしいからと全部食べてしまうと夕食に支障をきたします。アフタヌーンティセットは一番下の段がスコーン、二段目がサンドウィッチ類、一番上がスィーツです。その中でも印象的なのは、伝統的なキューカンバーがパニーニ風になっているサンドウィッチとスモークサーモンのおいしさです。もちろん、スコーンやクロテッドクリームもおいしく、さすがだなという印象です。

 時折、サービスマンがお湯を足してくれるのが、これがまたスマートです。おしゃべり好きの香港人に黒子のようにサービスする様はさすがですね。Kameshimaさんにおしゃべり好きな香港人の習慣の話をいろいろお聞きしました。その中でも印象的なのは、サービスしてくれた黒子のようなサービスマンに、人差し指と中指でテーブルをトントンとたたいて挨拶をする習慣。おしゃべりをしながら、会話を中断させたくない、でも、サービスマンに気遣いをしたいという気持ちから生まれた習慣らしいのですが、素敵な習慣だと感じました。いいサービスについて考えさせられました。

 Kameshimaさんとの話もはずみ、時間は18時過ぎになりました。デザートはやむなく諦め、香港島に移動することに。ビクトリアハーバーから遊覧船に乗ります。この船から見る夜景はとてもきれいです。セントラルエリアにあるランドマーク的な存在の『SOGO』の目の前の主要な道路はデモによりバリケードがはられています。

 今日、Kameshimaさんがアレンジしてくれたレストランは、今、香港で流行っている“新広東料理”という新しいジャンルの『小蝶(Zen Too)』という店です。中国料理で面白い店という私のリクエストに「ベタな海鮮レストランではないほうがよいだろう」といろいろ思案を重ねてくれたナイスなチョイスです。

 Kameshimaさんの説明によれば、“新広東料理”とは、旧来の料理をアレンジしなおして、特に見た目に工夫を凝らした料理を提供する店だそうです。その“新広東料理”の店の中でも『小蝶(Zen Too)』は評価が高い店だそうで、食通の日本人の間でもおすすめだという店の模様。

【一品目】菠蘿 - 菠蘿咕嚕肉
Sweet and Sour Pork Served in a Pineapple Bun
酢豚をパイの上にのせていますが、パイにはメロンパンの生地がコーティングしてあります。ちなみに、香港ではメロンパンの生地が流行のようです。なかなかおいしいです。

【二品目】煙燻少爺雞
Tea Smoked Master Chicken
こちらはシグネチャア商品(看板商品)だそうです。こちらは前の店から出しているという説明を受けました。龍神ウーロン茶、プーアール茶、ローズヒップで燻製をかけています。おそらく下ごしらえで醤油味のタレに漬けこんでいると思います。ガツンとは来ませんが、じわっとくるおいしさやね。

【三品目】炸子雞
Crispy Chicken
以前紹介しました神保町の『傳』の“傳タッキーフライドチキン”の源流かと思う品です。中に糯米が入っていて、これがおいしいです。

【四品目】重慶石鍋豆花魚
Braised Fish with Layered Tofu
豆腐花に辛いタレを合わせるという見た目に傾いた料理です。この食べ方は豆腐が水っぽく感じますね。アイデアは面白いが、少し商品設計が中途半端な印象です。タレにとろみが必要かもしれません。

 ホールのスタッフも、一生懸命やって、積極的に接触をしておりました。好感が持てる店ですね。これでひとりあたり、5000円弱。悪くない店です。
小蝶(Zen Too)
香港銅鑼灣登龍街一號金朝陽中心二期八樓
8/F, Soundwill Plaza II - Midtown,
1 Tang Lung Street, Causeway Bay, Hong Kong

電話 +852 2845 4555
HP http://zen-too.com
→食べログ内ページ
 食事の終わりしな、「行列ができるラーメン店で〆はいかがですか?」というご提案をいただきました。ホテルに到着してから食べっぱなしなので、お腹いっぱいではありますが、これもご縁。『九記牛腩(Kau Kee Restaurant)』に移動します。本来は、『小蝶(Zen Too)』のあるコーズウエィベイからはたいした距離ではないのですが、一方通行が多いこのエリアで、中心地の道路がデモでクローズしている影響はとても大きく、迂回して閉店間際の10時半ぎりぎりの到着です。

 ミシュランにも掲載があります人気店。普段は、40分は並びます。閉店間際ではありますが、ほぼ満席・相席で、私たちの後にもお客様はやってきます。凄いですね。このエリアには屋台のラーメン屋もあるようで、外観はその延長線上の気軽な雰囲気です。店内もベタ。

 閉店間際で、本命のラーメンは売り切れの為、玉子麺にチャレンジします。牛筋がたっぷりのった牛コツスープのラーメンです。麵は縮れています。あっさりしながらも、癖になりそうな味です。現に地元の人はそうなんでしょう。これで42香港ドルは安いですね。
Kameshimaさんは、やはり定番のがおいしいとおっしゃいますので、また来たいと思います。おそらく二回目のほうがおいしく感じるでしょう。
九記牛腩(Kau Kee Restaurant)
21, Gougu Street, Central, Hong Kong

電話 +852 2850 5967
■大久保一彦のフードビジネス研究会

2014年九州 人気・繁盛店見学会
[11月26日~27日(1泊2日)]

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筆者紹介

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講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

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