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社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

78軒目 ミシュラン福岡佐賀の鮨2軒

 2014年7月にミシュラン福岡佐賀が発売された。その中で見事三ツ星に格付けされた福岡市の薬院にある『行天』と二ツ星に格付けされた佐賀県唐津市の『つく田』のふたつの鮨店を紹介しよう。

 鮨店には大きく分けると三つのタイプがある。まず、つまみや場合によってはアルコールもない、握りを食べるタイプの鮨店だ。続いて、お酒を飲みながら細工した魚を楽しみ、最後、鮨を楽しむタイプの鮨店だ。最後に、この中間的な位置づけとして、握りとつまみを交互に出すタイプがある。交互に出すとお酒を飲まなくても間が持つわけで、アルコールを飲まなくなった昨今、このタイプの店の評価が高いように思う。

 今回紹介する二軒は二番目のタイプの鮨店で、お酒を飲みながら楽しむタイプの鮨店だ。


行天


 ともすると通り過ぎてしまいそうな入口を入ると、店の入り口へのアプローチがある。薬院というあわただしい環境ではあるが、岡山の『魚正』のような風格がある。ミシュランの三ツ星という格付けに、ふさわしい佇まいだろう。三ツ星の格付けを機に席数を増やしたようだ。

写真:行天への道


 三ツ星に格付けされて初めての食事はクエから始まった。脂ののったクエもうまくねかせて、食感のサクミが際立つが、脂が唇にまとわりつくことはない。むしろ、口の中で甘味となって広がる印象だ。

写真:長崎のクエ


 続いて、あてとして唐津の“黒雲丹”と新いくらが提供される。最初はそんなに余韻を感じない甘味のある雲丹だが、お酒を飲みながらじっくりと室温に向かうと口の中で香りが広がる。

写真:北海道の新いくらと唐津の黒雲丹


 続いて、今までとは仕立てを変えた能古島(のこのしま)の鮑が提供される。今回の能古島の鮑は鮑の香りを強調するためか、湯葉と合わせてある。この設計は絶妙で、まず、湯葉の強烈な香りが口を駆け巡り、鮑をかみしめると湯葉が口の中から消え、その後、鮑の香りが力強く追っかけてくる。湯葉と合わせることで鮑の香りと旨さが際立つ絶品である。これは、食材の柔らかさのギャップを利用した鮨店ならではの計算された料理だ。

写真:能古島の鮑と湯葉


 続いて、非常に印象的な対馬の鰹と続く。香ばしい胡麻の香りがいい。

写真:対馬の鰹


 ここで握りに入る。『行天』の握りは、最初は二カンずつ提供され、蒸し寿司が出た後、一カンずつとなる流れだ。

写真:行天の握り


 『行天』の特徴は、築地から取り寄せる魚と、ご出身の下関の漁師から買い付ける魚や、反対側の小倉、玄海の食材をバランスよく使うことだろう。今回は下関の漁師さんから天然の車海老や関門蛸などが入っていた。

写真:車海老と関門蛸


 魚の〆かたも素晴らしい。今回は新子と春子の脂のりがよく甘味を口いっぱいに広げていた。それもそのはず、大将の行天健二氏は、小肌や新子の〆加減のデータを取り、甘さが出るポイントを蓄積している。

 今回の出色のネタとしては西瓜の細巻、一週間以上ねかせた釣で2.3kgもあるシマアジが勉強になった。益々の発展を期待したい。

写真:西瓜の細巻とシマアジ


行天
福岡県福岡市中央区平尾1-2-12 井上ビル 1F
電話 092-521-2200
→食べログ内ページ


つく田


 玄海原発が稼働しなくなり元気が無くなった唐津市。しかし、未来に向けて確実に一歩を進んでいるのが『つく田』だ。

写真:つく田外観


 創造性があるあてが楽しいのが『つく田』だ。大将の松尾雄二氏は、料理開発が得意で、鮨店の枠を超えて、面白みがある裏ネタのあてがある稀な店だ。常連ならこれをお願いする。

 今回は、「値段は気にせず、あてをいっぱい楽しみたい」と特別コース(ジェームズオオクボコース)をお願いした。これが、夜の『つく田』の醍醐味だと私は思うからだ。しかし、その結果、驚くくらいあてが出てきたので、かえって自分が驚いてしまう結果となった。

写真:つく田のあて1


 例えば、60度で低温スチームにかけた帆立へ白アスパラのペーストをかけた皿、筍のマッシュ、鮎のペースト、すし屋のビーフジャーキー、胡瓜の雷干しなど、どれもうまいし、面白い。

写真:つく田のあて2


 そして、人見知りされるタイプからか見た目は無口な大将に見えるが、話がとても面白い。お酒を飲みながら、店主と会話をするのも、この店の良さ。強面のようで味のある親子とのカウンターはとても楽しい。

写真:大久保先生と店主


 握りだけで終わらせてしまうのはもったいない鮨店だ。ぜひ、唐津に泊まってお楽しみを!

つく田
佐賀県唐津市中町1879-1
電話 0955-74-6665
→食べログ内ページ


■大久保一彦のフードビジネス研究会

2014年九州 人気・繁盛店見学会
[11月26日~27日(1泊2日)]

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筆者紹介

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講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

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