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社長のための「コラム&NEWS」
今井繁之の 「上司のためのホウレンソウ」

第14話『身振り、手振りを加える』

 人はコミュニケーションを取っているのではなく、言語以外の様々な手段(ボディランゲージを含む非言語的要因)を通じて意思の疎通を図っています。
 
 人が人を判断するとき、93%が非言語的な情報を元にした判断で、純粋な言葉による判断は、たった7%でしかないと言われています。
 
 言葉の果たす役割は重要ですが、非言語的要因はそれ以上に重要です。
 非言語的要因の代表的なものは身振り、手振り、顔の表情、声のトーン、相手との距離や座る位置です。
 
 私たち日本人は一般的にシャイな人が多く、あまり大げさな身振り、手振りをしない傾向がありますが、自分の気持ち、想いを率直に表した言葉に表情や身振り、手振りを加えると、こちらの思いはさらに強く、相手に伝わります。
 
 ご迷惑をかけて謝らなければならないとき、申し訳ないことをしてしまい心から反省しているという表情を浮かべて、お詫びの言葉とともに深々と頭を下げます。
 電話でお詫びの挨拶をするとき、相手にこちらの姿は見えなくとも、心から申し訳ないことをしたという気持ちを、態度に表して、相手が目の前にいるかのように電話口で深々と頭を下げるといったような真摯な振る舞いをすると、言葉が少々足りなくても、思いは以心伝心で相手に正しく伝わります。
 
 ところが、こちらの姿はみえないからといって、机の上に足を投げ出して横着な態度で話していると、相手に“こいつは心から申し訳ないと思っていない”ということが伝わってしまいます。
 
 歌手の和田アキ子さんが以前、朝日新聞の「一流を育てる」という欄でホリプロの創業者の堀威夫さんの次のようなエピソードを語っています。
 「堀さんはすごく怖かった。事務所で、マネージャーが机の上に足をのせて電話していると「その態度が声に出るんだ」と言って、受話器で頭を殴りつけた」
 堀さんの言われるとおりで不真面目な態度を取っていたら巧言を弄しても相手には見破られるものと考えて、言行一致を心掛けなければいけません。
 
 ホンダの創業者である、故本田宗一郎氏が現役を退いた後、日本全国のホンダの販売店を訪問することを思い立ちました。
 なぜそんなことを考えたというと、ホンダの車が多くの人に信頼されて、愛用いただいているのは、縁の下の力持ちともいうべき販売店のみなさんが頑張ってくれているからだと思ったからです。
 
 最初の訪問先となった九州では、本田氏は整備マンの人たちが一生懸命、車を整備している時間に、到着しました。
 整備の現場に足を踏み込み「君たちのおかげで本田の車は売れている、俺は君たちに心から感謝をしている。これからもホンダを支えてほしい」と話して、頭を下げました。
 
 その後で、整備マンの一人一人に握手を求めました。急ぎ集まった整備マンの手は、汗と油で汚れていました。
 本田氏が手を差し出すと整備マンは、こんな汚れた手で本田さんと握手をするのは失礼だと考えて、思わず手をひっこめました。
 この時、本田氏は「俺は油の匂いが何よりも好きだ。君の手にある油の匂いを嗅がせてくれ」と言って、手を差し出したといいます。
 こう言われると、整備マンの人たちも遠慮がちに、おずおずと手を差し出しました。
 本田氏は、その手をその手を力強く握りしめて「ありがとう。これからもたのむよ」と言って、次から次へと握手をしていったそうです。
 
 おそらく本田氏と握手した人は、一生この感激を忘れなかったと思います。そして、この人たちは、その後、整備の仕事に誇りを持って取り組んだことと思います。
 
 人を率いる立場にある幹部や経営者は、相手の心に深く突き刺さるコミュニケーションを取らなければなりません。

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筆者紹介

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講師 今井 繁之

シンキングマネジメント研究所代表

社内・お客様に「報告・連絡・相談」を徹底している会社は、この逆境にあっても、業績が長期安定することを長年の指導経験から実証。
リコー・ソニーに勤務時、論理的問題解決法であるKT法の社内指導を手懸ける。その後、1991年、シンキングマネジメント研究所を設立し独立。指導実績は、キーエンス・シャープ・コープこうべ・NTTデータ・リクルート・伊勢丹…等の企業で、年間1000人を超える社員・幹部に独自の問題解決法TM法を教える。 特にeメール時代の「報告・連絡・相談」の指導は大好評。著書「頭を使ったホウレンソウ」、DVD「営業マンの報告・連絡・相談」(弊会AV局刊)

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