社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

64軒目 原価率60%以上の凄い店


万両
(大阪府)

 大阪市南森町の高速道路の料金所近くにすごい焼肉店がある。泣く子も黙る『万両』だ。
 圧倒的なコストパフォーマンスと、ホスピタリティでお客様をひきつける。4店舗で年商6億円。そんなに大きな店でないにもかかわらずこの数字は立派である。
 平成25年8月16日現在、「食べログ」の評価も南森町本店4.00点、東天満店3.86点、天神橋店3.63点、堺筋本町店3.55点と圧倒的な評価であり、南森町店の口コミが260件もある。それだけ口コミしたくなる店の秘密は何なのだろうか?

 先日、滝本社長に講師をしていただき秘密を掘り下げた。
 まず、多くの参加者が驚いたのは原価率が65%を超えることだ。南森町本店の「食べログ」のページによれば、お客様の使用した金額が4,000円~4,999円である。ふつうの店なら、1.5倍くらいの価格となるのだから、人に話したくなるだろう。だから、この口コミ数になる。
 その上、商品づくりは非常に手間をかけており、お客様にしてみたら、口コミをせざるを得ない環境になっているのだろう。
 例えば、タン。多くの焼肉店では一回凍らせて切る。半冷凍状態の場合もあるが、基本“しめて”切る。そうしないと綺麗にきれない。しかし、万両では“しめずに”切っている。この違いは味の面では大きく、オーストラリア産であるにもかかわらず、独自の食感とジューシーさのあるタンとなっている。もちろん、タン先も薄切りにしてあり、固くないしうまい。
 他の商品も基本的に店内調理にこだわっている。キムチはもちろんタレなど手造りだ。


 万両を初めて訪れたなら、客数もさることながら、様々なグループがいるのには驚くだろう。例えば、ファミリーできて、子供がご飯を食べて、お父さんがワインを飲み、お母さんが車を運転する。ファミリー客は飲まないと嘆く店が多い昨今だが、こんなことは非常に多い。

 実は、焼肉屋はワインが売れないことが多い。だから、「焼肉屋ではワインは売れない」と決めつけている店も多いだろう。
 滝本氏はある時、こうつぶやいた。
「ワインが売れないのは、飲みたいワインが焼肉屋にないのではないか」
 確かにワインは飲む人は飲むが、飲まない人は飲まない。飲む人が飲みたいワインがなければ売れないというのはもっともだ。


 そこで、フランスワインを研究して、南森町本店で60種類のワインを売ることにした。原価率65%。こんな注意書きも書いた。
「もし、楽天などで、この原価設定より安いものを見つけたら、お知らせください。即座に値引きします」
 そして、どうなったか。話すまでもないだろう。ばんばん売れるようになった。
 
 今の時代、流れで「とりあえずビール」は減ってきている。店側が狙いを定めて、目的意識をもって、お酒を飲んでいただく時代になったのだ。

 しっかりもののお母さんに選ばれるのは、ウーロン茶が無料だからかもしれない。焼肉の旨みは“食事需要”にある。京都の『多来多来』の記事でも書いたが滞留時間が短い。確かに飲みのお客様に比べて単価が若干下がるが、評判の店が滞留時間の短い食事需要を取り込めればビックセールスに導くことができる。

 大阪で長く愛される『万両』をぜひ体験されたい。フランスワイン好きなら南森町店、イタリアワイン好きなら天神橋店がおすすめである。

万両南森町店
大阪府大阪市北区南森町1-2-14 ロイヤルハイツ 1F
電話 06-6361-1371

(→食べログ内ページ)

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筆者紹介

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講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

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