社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

63軒目 地味な存在だがいつもお客様が入っている店


鍋処いずみ田
(福岡県)

 昔の人は「商売人は目立ちすぎないほうがいい」と言ったそうだ。店は目立ったほうがいいのか、はたまた目立たないほうがいいのか?
 新規客を集めるにはテレビなどに露出したほうがいい。しかし、地域密着の小さな飲食店に一見客がそんなに来ても長い目で見ればマイナスであることは否めない。
 いつかは多回数経験の飽きを感じるのは事実で、そんな場合であっても、店が近いということは強みとなる。そんな疑問に応えてくれる店がある。今日はそんな店を紹介しよう。

 今日、紹介するのは福岡市祇園にある『鍋処いずみ田』だ。オーナーの泉田信行さんはご自身の理論――“M/K理論” をお持ちで、ホームページに論文を公表するユニークな方です。
※くわしくはホームページ内『小論文・事業計画書』をご覧下さい。泉田さんはターゲティングを重視しているようです。

 さて、『いずみ田』グループは慶州鍋で有名で、博多に赴任していた友人も「よく行った」と言うほどサラリーマンに人気がある。しかし、県外の人にはあまり知られていない。そこに何か秘密があるはずだ。

 『鍋処いずみ田』は視認性を確保しながらも、さりげなくある。店内に入ると、第一印象がとても感じがよく、いい雰囲気を作っている。

 スタッフに「おすすめは何ですか?」と問うと、「いわしの磯部巻が名物です」と返ってくる。「刺身の盛り合わせに入れましょうか?」と提案があり、まずは刺身の盛り合わせを注文する。


 刺身の盛り込みはシンプルだ。最近の福岡ではシンプルな盛り付けが多いらしい。刺身の味は、「!」というものではないが、刺身としては水準以上だ。おそらく、名店を狙うのではなく、ターゲットとなるサラリーマンの予算とその予算の範囲でお客様が求める水準のちょっと上にしてあるのだろう。

 鰯の磯部巻きは、商品の工夫がいい。まず、福岡で鰯というのは珍しい。そして、鰯の品質としてはごくごくふつうだと思うが、海苔で巻いて葱を入れるという工夫でイメージが大きく変わる。この商品の捻りはさすがだ!

 そして、『いずみ田』はターゲット心理を読み込んだ落とし込みが多い。
 まず、焼酎の量り売りだ。ショットでも複数のボトルを持ってきて飲んだ分だけ請求される仕組みになっている。ボトル売りを無理強いしないところが凄い。このやりかたでサービスを減らすことが、気軽さを演出して、トータルの作業点数を減らし、お客様も店も嬉しい状態になる。うーん、唸る!!!


 さらに唸らせたのが、氷だ。これだけ作業点数を減らしながら、氷はロックアイス。気が付かない人も多いが、気が付けば大きな感じる差になる。さすが竹田ランチェスターという言葉以外見当たらない。

 
 豚足が入った豚の慶州焼きを食べたあと、いよいよメインの鍋だ。今日は、慶州鍋シリーズのホルモンを注文。少し塩見がありお酒にはぴったりだ。そして、このアクセントはテンジャンか・・・。さすがだ。うまい。

 福岡の飲食店では目立った存在ではないが、確実に評価される店だ。福岡では4500円~5000円くらいの客単価は安いとは言えないが、「安い」と感じるこの店づくりは、すばらしい。
 合掌するしかない!

鍋処 いずみ田 祇園店 (なべどころ いずみだ)
福岡県福岡市博多区祇園町2-29
電話 092-271-7754

(→ホームページ)

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筆者紹介

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講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

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