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社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

60軒目 小商圏における同じ見込客の幅広い利用シーンの落とし込み方法とは


バルザル(Baru S”alu)岡本店
(兵庫県)


 関西エリアには多店舗化をすすめる元気のいい若手経営者が多い。これまでも、ベジテジやの勝山社長鉄板神社の田中社長わい家の長谷川社長などのご活躍を紹介させていただいた。
 今回は、そんな関西の注目の若手経営者の一人、梅村雄士さんの会社株式会社オベーション・プラスが展開する『バルザル(Bar S”alu)』を紹介することにしよう。

 オーナーの梅村さんとは神戸の繁盛店のオーナーが集まった席で講師をさせていただいたことがご縁で知り合った。それ以来、いつもユニークな開店のDMを私の事務所に届けていただいている。
 阪急神戸線沿線の岡本駅に新しいお店がオープンしたという知らせがあった折、合理化協会セミナーが神戸で開催され、前泊することになったので、訪問することに。    
 
 初めての『バルザル』。“岡本駅”からすぐの路地に入ると、間口いっぱいに張り出した黄色とグリーンの印象的なテントが目立つ店舗がある。『バルザル』だ。
 このファサードの作りがうまい。色合いがとても興味を引く上、明るさにひかれてふらっと入ってみたくなる気軽さがあり、とても入りやすい。
 しかし、それでいて、店内の印象が落ち着いており、隠れ家的な雰囲気がある。この絶妙なバランスがいい。『俺のイタリアン』のある銀座や梅田のような大都会ではインパクトのある外観で明るく活気のある店づくりが功を奏す場合が多いが、ここは急行が停車するとは言え、ローカルな関西の駅。サービスや空間づくりで活気を出し過ぎるのは利用頻度が上がらず危険だ。そして、同じ見込客の利用動機が広くとれる必要がある。
 そのためには、入りやすいながらもおちついた雰囲気がなければならない。そのバランスを兼ね備えているのがまさに『バルザル』だ。

 そして、『バルザル』のコンセプトにとって重要な役割を果たしているのが、カウンター席とテーブル席の雰囲気づくりだろう。
 入口を入るとオープンキッチンが目立つが、その前に、活気がありながらも、落ち着いた止まり木のようなカウンターがある。ひとりでもふらっと入りやすい雰囲気が出ている。
 そして、このカウンターは機能的で、カウンターの上に赤のボードがあり、ランチ、メニューや名物メニューなどのインフォメーションがディスプレーをかねて表現されている。暗黙のうちに利用シーンの広さを伝えている。
 そして、会社帰りの仕事仲間や学生なら友達とふらっと立ち寄りたくなるのがテーブル席だ。レイアウトや家具の選定がよく、様々な利用シーンにかなうことをぱっと見で伝えている。
 この雰囲気づくりに一役かっているが照明の演出だ。照度が店内の仕上げ素材や配色と調和して気軽さと落ち着き感をうまく出している。

  

 こう見ると店づくりにおいて東京のような人口の多い場所とは違う小商圏で成立するためにやりかたがあることがわかる。
 このようなスモールマーケットでやっていけてこそ店舗展開の市場性があると言えるだろう。仮にIPOした後でも出店の余地は無限にある。

 バルザルのメニューはフレームとしては炉端焼き+ワインというユニークな形をとってこそいるが、最近よくあるワインバルの流れをくんでいるのは間違いない。
 ただ、街中にありがちなワインバーと異なるのはメニューにおける絶妙な一ひねりがあることだ。

 例えば、ポテトサラダに蟹やいくらなどの“グルメ食材”を合わせたり、フォアグラのムースとパテを一緒に盛り付けたりと、このコラムによく登場する私の主張する看板商品の方程式に則りながらも、絶妙である捻りをうまく考え、ご馳走感と意外性を演出し、アイデンティティを際立たせている。
 捻りはさじ加減。このひねりこそ、来店時、利用後の余韻を引き出す。
 しかし、この捻りは両刃の八重歯、危険との背中合わせだ。つまり、ディレクションが上手な一部のものに許される技なのだ。梅村さん自身にこのセンスがあるのかはわからないが、絶妙なさじ加減がある。これがパッケージとして店舗展開に結び付けているように思う。

 

 バルザルはトータルのコストパフォーマンスが高い。常連さんがかなりの頻度で通う関西においてはコストパフォーマンは非常に重要で、おそらく小商圏でやっていけるのはこの点が大きい。
 おそらくチョイ飲み2000円くらい、ちょっとした利用動機で3000円くらいだろう。

 うまくご馳走感をメニューに出しながら、コストパフォーマンスがいい。トータルのバランスがいい『バルザル』の躍進は続くだろう。

バルザル(Baru S”alu)岡本店
兵庫県神戸市東灘区岡本1-12-17 ティアラ岡本 1
電話 078-855-4136

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筆者紹介

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講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

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