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社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

58軒目 見えないところに労を惜しまぬ店


ミチノ・ル・トゥールビヨン
(大阪府)


 京都から神戸への移動の日、大阪で気になっている店に途中下車して立ち寄ることにした。
 その店のオーナーシェフ道野正氏とは、新橋の鬼才、杉本敬三氏のイベントで知り合った。
 生まれながらに料理をするために生まれてきたような敬三氏には一目置く人も多い。その敬三氏がFacebookで唯一影響を受けたというのが道野シェフである。店に行く前日から否が応でも気になった。


 道野シェフの店「ミチノ・ル・トゥールビヨン」は、今とても人気のあるエリアの福島駅から5分くらい歩いた路地にある。店内はこぢんまりとして落ち着いた空間である。昼間は外光が差し込みカジュアルな雰囲気を演出する。
 私は当日の夜、神戸の予約の取れないレストラン「カセント」で会食があるため、道野シェフには軽めのおまかせコースをお願いしておいた。
 まずは、軽く炙った鯵と野菜や果実をあしらった冷前菜からスタートした。軽やかで食前酒が進む、理想的なスターターである。
 続いて、蜂蜜に漬け込んだフォアグラと大根のキャラメリゼが提供される。フォアグラの火加減が絶妙で、大根とのバランスよく、口の中で砕ける。
 そして、道野シェフの真骨頂である皿になる。鮟鱇のポアレと富士幻豚のコンフィの相盛りだ。皿のリムには赤ワインと赤ワインビネガーでポワレしたアンキモに葱が添えてある。


 まさに、山のもの、野のもの、海のものが一体になった逸品である。
 今では、若手の料理人が取り組む山海の食材のマリア―ジュ。強引にあわせた感のある店が多い中、いわば喧嘩をしかねない素材をクッションになる野菜とソースで実に自然にまとめてあるのには驚く。
 ひとつひとつがさりげなく皿の上に並んでいるのだが、実に自然にうまくまとまっている。
 この豚のコンフィは塩抜きをしていないそうで、塩抜きをしないで済む塩分濃度12%にて漬け込んでいるそうだ。時間をかけて漬け込み、じっくりラードでコンフィ。この塩加減と強烈に引き出された豚肉らしい味わいは、このような目に見えないところに手間を惜しまないために作り出されている。
 そして、鹿、デザートと時間は流れた。



 味には前味、一口目、中味、後味、思い出す味とある。世の中の多くの店はわかりやすい前味、一口目に重きを置く。もちろん、多くの人がわかるのはこの部分であることは間違いない。
 しかし、目に見えないところに労を惜しまぬからこそ、このような余韻のある料理は生まれる。マスコミ受けしないかも知れない。食べログに酷評する輩がいるかもしれない。それはみんながわかる料理でないから仕方ない。
 必ずしも大衆受けするやりかたではないのかもしれないが、荒野におりながらも、より高みを目指す料理人に勇気を与えるだろう! 「料理人は、かくあれ!」と道を指し示しているようだ。

 魂は細部に宿る。
 技術は見えないところに隠れている。

 その技が見えたときに、大きな余韻に浸り、今までにない感動に出会う確率は必ず高まるに違いない。そして、そこから旅が始まる。店とお客様の関係を超え、師と教え子の関係になったときに、その旅はふたりの長い旅は始まる。

 本当の価値を見ることができるようになるために、この店は通わないといけない。決して派手さはないが、そう感じることができる数少ない店であることは間違いない。
ミチノ・ル・トゥールビヨン
大阪府大阪市福島区福島6-9-11 神林堂ビル 1F
電話 06-6451-6566

(→公式サイト)

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筆者紹介

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講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

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