社長のための「コラム&NEWS」
大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

57軒目 宣伝を使わず小商圏で生きる道


酒菜いとう
(福岡県)


 道具は使いようで、フェイスブックはとても便利なツールだ。何が便利かというと、同じ想いを伝えたり、共有したりするのにすばらしい。同じ価値感を共有するエンゲージメントの輪も広がる。
 そんなフェイスブックのつながりから知り合った店を今日は紹介しよう。
 
 私は以前とある学校で、フードコーディネーターの資格講座のカリキュラム編成や運営をお手伝いし、大成功に導いたことがある。
 その講座で、築地場内で「倉田商店」という卸を営む倉田さんと知り合った。飲食店も運営する倉田さんとはもう長いつきありになる。その倉田さんとフェイスブックの友達にもなった。

 ある日、倉田さんフェイスブックのウォールに対馬の漁師の細井さんとやりとりをしているのを発見し、早速友達になった。細井さんのウォールにはリアルタイムの漁の状況が書き込まれていて面白かった。
 また、細井さんのウォールで、取引先の飲食店がとてもおいしそうな料理を作っている店を発見した。その店が気になり、奥様とお友達になった。

 それが今回紹介させていただく「酒菜いとう」である。


 その後、伊藤さんの友達が、何度か「酒菜いとう」の料理などを書き込みしており、「この店で食事したいなぁ」と思いがつのっていた。そんな矢先に偶然、福岡のダイニングから訪問指導の依頼が入った。
 早速、フェイスブックで伊藤さんに予約のメッセージを入れた。
 
 店は博多駅から車で10分くらいの西鉄高宮である。高宮駅は観光客は多分こないローカル駅。
 
 「酒菜いとう」の外観は、ベタな居酒屋だ。しかし、凛としている。居ぬきの物件を使ったということだが、敷居をさげ、どこか気軽でいい。
 
 店内に入ると居酒屋らしくカウンターがあり、若夫婦が店を切り盛りしている。カウンターの上には手書きのメニューとスタンド式のメニューがある。手書きメニューを見ると、居酒屋メニューがずらりとある。
 しかし、どこかおかしい。なぜなら、となりの常連らしきおじさんがロゼワインを飲んでいるのだ。

 私は、漁師の細井さんの穴子を食べたくて、リクエストしてあった。まずは刺身と穴子を煮穴子、焼き穴子、天ぷらで堪能することにした。


 
 食事をしながら、スタンドメニューを熟読すると、なんとイタリアンのメニューがある。
「ああ、横のおじさんはこれだったのか!」
 
 奥様が「何か追加しましょうか?」と問うので、「洋食メニューが多いんですね、おすすめは何ですか?」
 「当店の人気はアクアパッツァなんです。イサキがありますがいかがですか?」
 
 次に福岡に来るのがいつかはわからないので、もちろん、「Yes, Please!」
 
 よく話をすると、伊藤さんは北イタリアのへんで修業したイタリアンの料理人だそうだ。しかし、この地高宮で飲食店を成立させるには、イタリアンは難しいということで、入り口としてベタに居酒屋をやったとのこと。

 ふらっと入ったお客様を居酒屋の定番でつかみ、私のようにさりげなくあるスタンドメニューを見て「おや?」と気づいた食通をつかむ。それがうまいし、光っている。その後、面白いから人に言う、フェイスブックに投稿する。その連鎖が広告に頼らずに繁盛に導くやりかたの模様。
 料理がしっかりしていることは条件になるが、足元を固めて二次商圏に広げていく、小商圏のやりかたと感心した次第である。
 

 鍋で焼いていたアクアパッツァが焼きあがった。〆はその汁で手打ちパスタを楽しんだ。
 ロゼワインが似合う、東京にもない素晴らしい居酒屋である。
 

 ちなみに、伊藤さんの修業時代の友人が、あの伝説の店「ダル・ペスカトーレ!」で10年以上スーシェフをしていた村山さんのようで、その村山さんが経営する目黒にある「ラッセ」を紹介いただいた。
 フェイスブック恐るべし!
 
 
酒菜いとう
福岡県福岡市南区野間1-10-7 野間リッチハイツ 1F
電話 092-553-6566

(→食べログ内ページ)

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筆者紹介

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講師 大久保 一彦


日本の将来のために創業・第二創業・イノベーションを支援する有限会社
代表取締役

10,000店舗を訪問、「反映の仕組み」を体系化 日本、フランス、アメリカなど1万店舗を実際に食べ歩き、 多くの飲食経営本を著す。 飲食店のもうけの構造を知り尽くした現場コンサルタント。 日本、アメリカ、欧州、1万店舗以上の店舗を訪ね、繁盛の秘訣を体系化し、「オオクボ式繁盛プログラム」を開発。損益分岐点を下げる仕掛けでは、月商400万円売れないと成り立たなかった店を月商180万円でも利益が出るよう指導し、成功させた。 (株)グリーンハウス時代に「新宿さぼてん」を惣菜店多店舗化に成功。独立後は、ハイディ日高、和幸、東和フードサービスなどの新業態開発やメニュー開発などを手掛け、地域密着店、老舗料亭やフレンチ・イタリアンの高級店等の運営から集客法までを一元的に指導。経営者の信頼を得る。 「行列ができる店はどこが違うのか」など著書24冊。

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