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知らなかったでは済まされない「改正派遣法のポイント」

第5回 派遣会社のマージン率等の公開

 マージン率とは、派遣先から受け取る派遣料金に占める、派遣料金と派遣労働者に支払う賃金の差額の割合のことです。今回の法改正でマージン率等の情報を公開することが義務づけられました。
 
 このマージン率は、以下の計算式で算出されます。




 算出したマージン率を含めた以下の7つの事項については、インターネットなどにより、関係者に情報提供することが義務化されました。

 ①事業所ごとの派遣労働者の数
 ②労働者派遣の役務の提供を受けた者の数
 ③マージン率
 ④教育訓練に関する事項
 ⑤労働者派遣に関する料金の額の平均額
 ⑥派遣労働者の賃金の額の平均額
 ⑦その他労働者派遣事業の業務に関し参考となると認められる事項
 
 マージン率の公開により、不当に利益を得ている悪質な派遣会社を排除できると考えられますが、必ずしも、「マージン率」が高いからといって、悪質というわけではないことに注意が必要です。「マージン率」は派遣会社の「利益」も含まれていますが、「マージン率」には社会保険料の事業主負担分、有給休暇や福利厚生費、研修費等の費用等も含まれています。つまり、「マージン率」が高いのは、社会保険に適正に加入し、有給休暇も取得ができ、福利厚生や研修が充実しているからだとも考えられます。
 
 ここに、一般社団法人人材派遣協会が例示している派遣料金の内訳があります。




 これを見る限りでは、「マージン率」が30%であっても、社会保険料や有給休暇の負担がかなり大きいことが分かります。コンプライアンスのことを考えれば、ある程度の「マージン率」が必要です。「マージン率」が低いということは、コンプライアンスを無視している可能性もあり、トラブルが起こる可能性も高いと言えます。
 
 「マージン率」が公開されることで、派遣会社を選択する上で、「マージン率」も判断基準の1つになると思いますが、決して「高い」「低い」で判断をすることなく、派遣会社に対して、「マージン率」の中身について説明を求めたうえで、その妥当性を判断すべきだと思います。
 
 また、情報公開により、派遣労働者は、以下の場合に、派遣会社から派遣労働者の派遣料金の額が明示されるようになります。

 ①派遣会社と労働契約を締結するとき
 ②派遣先に実際に派遣されるとき
 ③派遣料金が変更になったとき
 
 さらに、派遣会社と派遣労働者が労働契約を締結する前に、以下の事項について説明を受けることが義務付けられています。

 ①雇用された場合の賃金の見込み額や待遇に関すること
 ②派遣会社の事業運営に関すること
 ③労働者派遣制度の概要
 
 今回の改正により、派遣労働者は、派遣料金のこと、派遣会社の事業運営、派遣制度の概要など、今まで知ることがなかった情報を得ることになります。情報をたくさん持つことは、権利意識を持つことにつながりますが、信頼関係を強化することにもなります。派遣会社も含めて、派遣先企業と派遣労働者の間のコミュニケーションをはかり、派遣労働者が力を発揮しやすい労働環境を作っていくことが大切だと思います。

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筆者紹介

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講師 瀧田 勝彦

有限会社人事・労務 チーフコンサルタント 特定社会保険労務士

顧問先390件、年間1万5000件の案件を手がける都内有数の社労士集団(有)人事・労務のチーフコンサルタントとして、労働基準監督署の是正勧告、労働組合との団体交渉など常に現場で社長とともに労務トラブルの解決にあたっている。 「話せば分かる」をモットーに就業規則の説明会、社員との面談など積極的に会社を訪問し、就業規則や人事制度の運用のサポートを行っており、絶対にあきらめないサポートに経営者の信頼も厚い。 (有)人事・労務 http://www.jinji-roumu.com/

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