社長のための「コラム&NEWS」
あなたの会社と資産を守る一手
第18話 大きな含み資産を持つ債務過多の黒字会社は難しい
ある企業の決算書を見ていて、違和感を覚えた。
老舗の黒字会社だし、かなり価値がある不動産を所有しているし、それゆえに売上高営業利益率は1%台であるにもかかわらず、かなりの融資残高があり、正常に返済している。
これを税引き後利益+減価償却という返済原資で計算すると、なんと完済までには50年以上かかってしまう。
それでも、この会社に対して、銀行は新規融資をだしている。「いったいどうして?」と感じていたが、不動産の含み資産を計算したらナゾが解けた。
現状の簿価は低いけれど、不動産を売れば借入金の大半は返せるのだ。
しかしながらこの会社は黒字会社。
不動産を売って含み益が表面化すれば、銀行は十分資金回収できるが税金もかなりとられてしまう。 だからガチガチに根抵当権をつけ倒産しても回収できるようにしてあるのだ。
大きな含み資産をもつ債務過多の黒字企業が今後どうしたらいいのだろう?という相談を持ち込んできた場合、回答は難しいものになる。
財務の改善のために不動産を売れば税金が払えなくなり、何もしなければ経営内容はけっして良くならない。利益率の低さから売上を上げれば資金繰りが苦しくなり新規借入に頼らざるおえなくなる。利益率を上げる計画をたてようとしても現状に慢心としていて、今そこにある危機を心底から理解できない。また、ビジネスモデルを変えることに慣れていないのでより経営が苦しくなることを把握していない。
これが大幅な赤字会社なら事業をやめるという選択肢もあるが、黒字会社だと
「どんなに先が見えなくてもこのままやっていくしかない」のだ。
それでも、数少ない経営者はこの状況でも利益率のアップを目指してビジネスモデルを勉強し続けている。
5年計画で経営を立て直している下記会社の2期の決算(貸借対照表、損益計算書)を見てほしい。
この会社、以前、大赤字となったのだけれど、利益率を考えたビジネスモデルを考え実行することで立て直してきている。じっさい売上高営業利益率は20~30%にもなる。今期売上は落ち込んだものの利益はさほど減っていないのがわかると思う。債務超過も大幅に縮小してきている。
大きな含み資産を持つ債務過多の黒字会社ならばこそ、ビジネスモデルを見直し、利益率を考えるべきだと思う。
老舗の黒字会社だし、かなり価値がある不動産を所有しているし、それゆえに売上高営業利益率は1%台であるにもかかわらず、かなりの融資残高があり、正常に返済している。
これを税引き後利益+減価償却という返済原資で計算すると、なんと完済までには50年以上かかってしまう。
それでも、この会社に対して、銀行は新規融資をだしている。「いったいどうして?」と感じていたが、不動産の含み資産を計算したらナゾが解けた。
現状の簿価は低いけれど、不動産を売れば借入金の大半は返せるのだ。
しかしながらこの会社は黒字会社。
不動産を売って含み益が表面化すれば、銀行は十分資金回収できるが税金もかなりとられてしまう。 だからガチガチに根抵当権をつけ倒産しても回収できるようにしてあるのだ。
大きな含み資産をもつ債務過多の黒字企業が今後どうしたらいいのだろう?という相談を持ち込んできた場合、回答は難しいものになる。
財務の改善のために不動産を売れば税金が払えなくなり、何もしなければ経営内容はけっして良くならない。利益率の低さから売上を上げれば資金繰りが苦しくなり新規借入に頼らざるおえなくなる。利益率を上げる計画をたてようとしても現状に慢心としていて、今そこにある危機を心底から理解できない。また、ビジネスモデルを変えることに慣れていないのでより経営が苦しくなることを把握していない。
これが大幅な赤字会社なら事業をやめるという選択肢もあるが、黒字会社だと
「どんなに先が見えなくてもこのままやっていくしかない」のだ。
それでも、数少ない経営者はこの状況でも利益率のアップを目指してビジネスモデルを勉強し続けている。
5年計画で経営を立て直している下記会社の2期の決算(貸借対照表、損益計算書)を見てほしい。
この会社、以前、大赤字となったのだけれど、利益率を考えたビジネスモデルを考え実行することで立て直してきている。じっさい売上高営業利益率は20~30%にもなる。今期売上は落ち込んだものの利益はさほど減っていないのがわかると思う。債務超過も大幅に縮小してきている。
大きな含み資産を持つ債務過多の黒字会社ならばこそ、ビジネスモデルを見直し、利益率を考えるべきだと思う。

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- 第51話 収益不動産購入の判断を数字だけで決めてはいけない
- 第50話 魅力的な不動産でも、銀行融資のハードルが高いものには手を出すな
- 第49話 保証協会団信制度
- 第48話 社長の連帯保証をはずせる会社、はずせない会社
- 第47話 融資が受けられなくなる「債務の状況」について
- 第46話 黒字だが借入金が多い会社のソフトランディングの方法
-
第45話 所有不動産に価値(余力)がないから差押えられる
危険性もないと考えることの間違い - 第44話 破たんして、破産や民事再生を自動的に選ぶべきではない
- 第43話 資産によってつぶされる会社とは?
- 第42話 会社破たん後に経営者はどうしたらいいのか?
- 第41話 仮差押・差押をあまくみてはいけない
- 第40話 他社よりも儲けるためのビジネスモデルとは?
- 第39話 新たな営業利益はどこから生まれるのか?
- 第38話 B/S(貸借対照表)のどこが変化すると、融資が返せなくなるか?
- 第37話 あきらめたら、そこで終わり
- 第36話 少しずつ厳しくなっている破綻後債務者への金融機関による債権回収
- 第35話 うまくいく会社、だめな会社
- 第34話 経営者にとっての「真摯さ」とは?
- 第33話 会社経営と、経営者の個人資産(不動産)
- 第32話 利益を増やすには「B/Sを意識したビジネスモデル」が必須
- 第31話 日本人社長の考え方、韓国人社長の考え方
- 第30話 先細りの事業を再構築するときに、必要なこと
- 第29話 商品譲渡担保の契約は、企業の生き死にを決める
- 第28話 「なぜ失敗しそうな事業から撤退できないか」を中小企業で考えると
- 第27話 フレキシビリティー(柔軟性)、経営のあらゆる場面で必要なもの
- 第26話 破たん後に会社の資産、会社の個人資産はどうなるか?
- 第25話 破たんしても再生できるポイントとは(2)
- 第24話 破たんしても再生できるポイントとは(1)
- 第23話 事業の建て直しには、結果としての計数が必要
- 第22話 返済が遅れると低金利の融資も高金利になる
- 第21話 債務過多の解決策は3つしかない
- 第20話 昔からある業種では、視点を変えなければ利益も増えない
- 第19話 債務過多でも中小と大企業では再建方法が異なる
- 第18話 大きな含み資産を持つ債務過多の黒字会社は難しい
- 第17話 利益はどこから来るか?経営計画を作るなら…。
- 第16話 バランスシートにのらない資産が利益を産む
- 第15話 管理することで生まれる利益もある
- 第14話 債務過大・延滞で競売の危機!誰かに投資してもらい事業を継続したいと思ったら
- 第13話 債務者になったら「もしも…」の時を考え、資産の持ち方を考えた方が良い
- 第12話 危機のときに生き残る会社のバランスシートとは?
- 第11話 失敗から学ぶことの重要性
- 第10話 会社の借り入れが過大になる理由
- 第9話 中小企業のバランスシート
- 第8話 推定デフォルト率と資産勘定
- 第7話 破たんの原因
- 第6話 債務者のルール
- 第5話 債務者のルール
- 第4話 債務者のルール
- 第3話 利益率を上げるビジネスモデル
- 第2話 債権者のルール
- 第1話 社長が知らねばならない資産防衛
筆者紹介
講師 坂田 薫 氏
企業再生コンサルタント
東京都中小企業振興公社の事業承継・再生支援事業登録専門家。専門は企業再生、ビジネスモデル、WEBマーケティング、SEO。ITと絡め、新しい成長戦略を立案、事業を軌道に乗せる実力コンサルタント。
金融機関にて20年に渡り、外為審査、ドル円中心のデイーリング、外為日銀担当等を経て、支店の融資担当次長を経験、数々の事業プロジェク トに財務と事業モデル開発の両面から支援。1000社以上の企業に携わる。
著書は「1年で黄金の会社を生み出すカラクリ」「決算書からお金持ち会社の作り方がわかる」、「社長さん!あなたの資産と会社を守る最後の一 手、教えます!」